「チリガミ王子」兼「バカボン」ことヤクルト七条祐樹投手(26=伯和ビクトリーズ)が、本家王子の日本ハム斎藤佑樹投手(22=早大)と同日に2回完全デビューを決めた。13日、沖縄・宜野座で初の練習試合となる阪神戦の5回から登板。1人の走者も出さず、ブルペンとは別人の実戦派の力を見せつけた。

 直球、チェンジアップ、スライダーを内外角に投げ分ける。得意球カーブは抜けるシーンもあったが、打者6人で片付けた。「緊張しました」の第一声だったが、マウンドでは落ち着き払った。6回は先頭打者の上本を外角へ沈むチェンジアップで空振り三振に切る。「きっちりコースを突いて、腕を振れば何勝かはできる」と自信を深めた。

 日本ハム斎藤とは、まさかの同日デビュー。「運命なんですかね。同じ名前で、同じドラフトで入って、同じ日に投げて。何かあると思います」と笑った。

 登板直前には斎藤も憧れるイチローの著書を那覇市内の書店で購入。「まじめにやっていたら、不安になって当然」の言葉に感銘した。登板前夜も目を通して就寝。完全投球に、小川監督は「ボールの切れと勢いが、ブルペンとは違う。先発で回していけるように調整したい」と、急きょ先発テストに踏み切る考えを示した。

 今月下旬には第1子が誕生する予定で、バカボンはパパになる。「佑ちゃんにも負けたくないけど、バッターに負けたくない。何とか結果を出さないと。生活がかかっているので必死です」。26歳のオールドルーキーが、がむしゃらにチャンスをつかみにいく。【前田祐輔】

 [2011年2月14日8時8分

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