汚名返上の1発だ!

 東北福祉大出身の楽天井野卓捕手(27)が18日、沖縄・久米島で行われた紅白戦に先発出場。左腕川井から左越え2ランを放ち、開幕1軍に名乗りを上げた。2日前の紅白戦では、ふがいないリードで非情交代を告げられていただけに、攻守でアピール。レギュラー捕手の嶋に追いつき、追い越せるポテンシャルを持つだけに期待は高まる。

 闘将の“カミナリ”がよっぽど効いたのだろう。危機感を抱いていた井野の気持ちが、そのままバットに乗り移った。2回2死二塁。川井の高め直球を迷わず振り抜いた。打った瞬間に本塁打と分かる打球が、左中間フェンスを軽々と越え、防球ネットに突き刺さった。まだプロで1発はなく「あんなの打ったことがないので、打球を見失いました」と、自分でも驚いていた。

 課題の打撃で特訓の成果を見せたが、少しも浮かれる様子はない。「打つより守りの方なんで」と表情を引き締めた。苦い経験が頭から離れない。2日前の紅白戦でマスクをかぶった時のこと。先発3本柱の永井をリードし、初回に5失点を許した。これが星野監督の逆鱗(げきりん)に触れた。通常なら1、2打席が回るまで選手交代はないが、2回から井野の出番はなかった。明らかな懲罰交代だった。

 猛省した。「佐藤(投手)コーチにもボロカスに言われました。初回に5点を取られたら致命的。1点でも少なくする方法を考えないといけない」と何度も配球を見直し、練習に対する目の色も変わった。捕手の1軍枠は2人の予定。レギュラー嶋以外の残り1つを伊志嶺、中谷と争う。いずれは正捕手を狙うが「まず守りをしっかりしたい」とチームの要として、信頼される守備面を磨くことを最優先する。【柴田猛夫】

 [2011年2月19日10時26分

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