<阪神4-5巨人>◇20日◇甲子園

 巨人が終盤の集中打で阪神に逆転勝ちした。1点を追う8回、小笠原道大内野手(37)が全力疾走の内野安打で出塁。無死満塁から長野久義外野手(26)が三塁強襲の二塁打を放ち逆転し、今季初スタメンの亀井義行内野手(28)の内野安打で1点を追加。阪神の9回の反撃を1点に抑え、連敗を3で止めた。

 「何とかしたい」。その思いが結実したからこそ、巨人に勝利が転がり込んだ。8回に15打席連続無安打だった小笠原が「何とか塁に出よう」と内野安打で出塁。4回の2打席目ではカウント3ボールから打った。左飛になったが、現状打破への強い気持ちは序盤から全開だった。ガッツの4試合ぶりの安打の後、ラミレスが左前で続き、無死一、二塁。高橋が四球を選び、すべての塁が埋まった。

 その思いを感じ取り、長野が打席に向かった。そこで、ようやく各打者が点から線になった。「小笠原さんの全力疾走、ラミちゃん、由伸さんもつないでくれたので何とかしたかった」。気迫を込めた打球は三塁手新井のグラブをはじいてファウルゾーンを転がり、この日4安打目が2点適時二塁打に。

 今季初スタメンの亀井も「長野がつないでくれたので、何とかしないとと思った」と三塁内野安打で3打点目をたたき出した。1発攻勢でなく、1イニングに4安打を放っての3得点には、必死さが表れていた。

 引き分けの後に3連敗と嫌なムードが漂い始めた中で、この試合を迎えていた。「勝っても負けてもおかしくない試合が続いていたし、紙一重だってミーティングでも話があった」と長野が言うように、安打は出ているし、大量失点もない。紙一重の接戦を物にする「結果」が何よりチームに必要だった。

 試合前の練習で、上昇の兆しはあった。ラミレスが、新守護神山口に話しかけた。「いいピッチャーなんだから、気にせず気持ちを切り替えて、自信を持ってやろう。起こったことは仕方ないんだ」。前日19日にリリーフに失敗した守護神に勇気を与えた主砲は試合では2度、ホームを踏んだ。

 最終回にロメロが四球や暴投などでピンチを招いたが、薄氷で勝利。8回の打線のつながりが、1点差の逃げ切り劇を生んだ。原監督は「ひやひやは慣れています」と苦笑しつつ、こう続けた。「小笠原も苦しんでいましたが、ああいう安打が次につながると思う。少し流れというか、非常に今までなかった追い風的な、良い流れが来たと思いますよ。何とか、止めずに行きたいと思います。もう接戦ですからね、気を緩めず全集中していきたい」。

 全員が「何とかしたい」ともぎとった、この日の1勝で、借金を1日で完済。今日先発予定のルーキー沢村に今度こそプロ初勝利を届け、巨人は一気に加速度をつける。【浜本卓也】