<阪神1-3巨人>◇21日◇甲子園

 巨人ルーキー沢村拓一投手(23)が、プロ2度目の先発マウンドに立ち、7回を6安打1失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。初回は2死満塁、2回以降もピンチの連続だったが、最少失点にしのいだ。チームも今季最初の伝統の阪神戦に2勝1敗と勝ち越した。

 投手として、速い直球を持つ投手がどれだけ有利か、巨人のルーキー沢村が証明した試合だった。速球派投手が許される“特権”をフル活用したのが、1点を返された直後の投球からだった。

 6回裏無死二塁から金本、城島、俊介を3者凡退に打ち取った。この場面では、それまでの投球内容とは一変していた。全15球で直球を投げたのは4球のみ。ストライクゾーンに入った直球は2球だけで、そのうちの1球はサイン違いで、意図した通りに直球でストライクゾーンに投げたのは1球しかなかった。初回から5回までの投球は79球中、ストライクゾーンへの直球が30球で、ボールゾーンへの直球も22球。ピンチで、速球派投手が変化球投手に変身したといえる。

 ルーキーながら「沢村=速球派」という方程式は、既にプロ野球界でも成立している。直球の速い投手というのは、相手打者が勝手に「強く直球を意識する」という“特権”がある。直球を強く意識すれば甘い変化球でも打ち損じる可能性が高くなるし、球威が落ちた時や、直球の走りが悪かったときなど、相手打線に対し“二枚腰”で対応できる。それだけ抑える確率が上がることは、説明するまでもないだろう。

 投手として申し分ない資質を持っている沢村だが、1つ気掛かりがある。3回1死一、二塁から二塁走者だった沢村は右中間へのフライで飛び出して併殺。二塁走者から見て右中間方向への飛球は、三塁ベースコーチも見やすいし、角度的にも外野手が捕れる飛球かどうかの判断がしやすいし“単純ミス”という言葉だけで片付けられない気がする。今試合でもサイン違いをしたし、オープン戦でも2度のサイン違いがあった。“ポカ”の多い選手に超一流選手はいない。隙の多い選手はケガをしたり、油断をして大成しなかった選手は数多くいる。投手として素晴らしい資質を持つ沢村だけに、つまらない選手にはなってもらいたくないと思っている。【小島信行】