<ヤクルト7-1巨人>◇26日◇静岡

 地方球場特有の黒土マウンドを踏みしめる。新緑に囲まれた静岡・草薙球場。7回3安打1失点と粘り、ヤクルト石川雅規投手(31)が99球でプロ通算99勝目をつかんだ。

 1回、坂本に先頭打者本塁打を浴びた。137キロ、135キロ、131キロ、137キロ、137キロ。最後はフルカウントから136キロを左中間に運ばれた。変化球投手の石川には珍しい、直球勝負を続けた。「狙ってないと思ったので。それでも僕ぐらいの真っすぐだと簡単に持っていかれる」。

 これで「目が覚めました」。シンカー、シュート、スライダーなど、多彩な変化球をベース板の四隅に集めた。坂本の2打席目はシュートで中飛。第3打席はスライダーで内角を突いて、遊ゴロに切った。終わってみれば、わずか3安打で7連勝の立役者になった。

 大台100勝まで、あと1勝に迫る。身長は167センチ。160センチ台投手の100勝到達は、同じ167センチだった55年の長谷川良平(当時広島)以来2人目の快挙になる。

 小さな体を最大限に生かすため、こだわりは細部にわたる。静岡入りした25日、担当者とスパイクの打ち合わせを念入りに行った。キャンプ当初から比べると、つま先付近の歯を3ミリ短くした。約320グラムまで軽量化。踏み出した軸足が、マウンドをとらえる感覚を追う。まだ完成品ではない。試行錯誤を続ける中、初めての地方マウンドにも「うまく対応できた」と言う。

 本来は神宮でナイター開催予定だったが、東京電力管内を出て、静岡に場所を移した。1万3365人のファンが見つめていた。

 次回先発は5月3日、神宮での中日戦が有力。「遠征が続いているので、何とか神宮で達成したい。家族が見ている前で決めたいです」。プロ9年間で2ケタ勝利は8度。誰もが認める「小さな大投手」。節目の勝利は一発で決めたい。【前田祐輔】