巨人が交流戦から反攻態勢を整える。17日からセ・パ交流戦が開幕する。巨人は初戦の楽天戦(Kスタ宮城)にルーキー沢村拓一投手(23)を中5日で起用することが16日、分かった。順番では開幕投手を務めた東野が順当だが、東野はパ首位の日本ハムに中9日で投入される。右ふくらはぎ肉離れで離脱していた阿部慎之助捕手(32)は今日、「5番・捕手」でスタメン復帰。公式戦初の中大の先輩後輩バッテリーが、いきなり“開幕試合”という大舞台で実現、反攻モードの口火を切る。

 ルーキーが、交流戦といえども「開幕投手」の座をつかんだ。前日までの広島での練習、この日のジャイアンツ球場での調整に、ローテーション変更の跡がうかがえた。沢村は、今日の楽天2連戦の初戦を託されたとみられる。練習を終えた沢村は「札幌で投げるか、オリックスが相手か分かりませんよ」と、前置きしつつ、交流戦では登板間隔「中5日」のケースが増える見通しとの質問に「苦じゃないっスよ」と言い切った。「『行け』と言われたところで投げるのが先発ローテーション投手の求められるところです。僕が粘って失点しなければ、チームは負けない。粘りたいです」と、チームの期待に応えるべく、粉骨砕身の覚悟を語った。

 異例の抜てきには、複数のワケがある。川口投手総合コーチは「永井-岩隈か、岩隈-永井ですね。岩隈は明日、明後日、どちらでしょうか」と、岩隈の登板日に関心を示した。2連戦システムと、変則日程の交流戦。最も警戒すべきは2連戦2連敗に陥ること。日本球界を代表する投手よりも、永井とのマッチアップを望むのは、沢村の勝ち星を増やしたいのと同時に、チームの2連敗を阻止することを重視するからだ。

 さらに同コーチは「彼(沢村)には新人王を取らせたい。我々もそのことも考えていますよ」とも話した。楽天初戦を投げ、中5日を基本線にしていくと、イラストのような予想ローテーションが出来上がる。楽天、オリックスとは2度対戦する一方、16日現在のパ2強、日本ハムとソフトバンクは当たらない。沢村は1勝3敗と黒星先行。とはいえ、これまで打線の援護に恵まれないケースが目立った。まず、白星を付けることで、投球の勢いを加速させたい首脳陣の親心もある。

 沢村が回避する2強は、東野、内海に託すことが多くなりそうだ。経験と実績からも、2人を中心に強敵と対戦すべきだ。チームのバランスを考えてのローテーションの組み替えと言えそうだ。

 阿部の復帰も、沢村への追い風だ。原監督は「5番です。わざわざ本人に言わなくても分かるでしょう」と、全幅の信頼を置いて「5番・捕手」での復帰を明言。沢村にとっては、中大の先輩でもある阿部とのバッテリーが、ついに実現する。ナインが新幹線移動したこの日の東京駅でも、笑顔を振りまいた阿部の存在が、マウンドの沢村に大きな勇気となるはずだ。阿部と守護神・山口の復帰についての質問に、沢村は「阿部さん、山口さんが帰ってくるのはプラスです」と歓迎した。何しろ打の軸、救援の軸。心強さは格別だ。

 沢村で白星を重ね、東野、内海で強敵を押さえつける-。巨人の反攻交流戦。ディフェンスのシナリオは出来上がった。【金子航】