<日本ハム0-2ヤクルト>◇17日◇札幌ドーム

 また、また、また援護なし…。日本ハム武田勝投手(32)が粘りの投球で7回を2失点に抑えながら、打線の援護に恵まれず、4敗目を喫した。これで左腕エースが先発した試合は4試合連続、36イニング無得点と勝ち運に見放された。4試合続けて完封負けの敗戦投手は球界では55年ぶり、パ・リーグでは初となる。セ・パ両リーグの首位対決に敗れ、順位も2位に落ちた。

 常識では説明できない怪現象が、また起こった。「日本ハム七不思議」の1つ。ベンチから“目撃”した梨田監督も「こんなことってあるのかな…。不思議やね。巡り合わせなのか」と、首をかしげた。武田勝の登板試合で、4戦連続の完封負け。ファンも、首脳陣も、選手本人でさえも理由を見つけづらい、「孤立無援・武田勝の悲運の物語」が繰り広げられた。

 始まりは4月27日ソフトバンク戦のことだった。得意としていたタカ打線に5回5失点と打ち込まれ、味方の援護が1点もなく、敗れた。そこから4試合。投げるたびに、味方打線は「0」が続いた。同一投手の登板試合で4戦連続完封負けを喫するのは、パ・リーグでは初めての出来事だった。

 投球内容は、勝ち星がついていてもおかしくないものばかり。前々回のオリックス戦は8回1失点で敗戦投手。前回の楽天戦も、7回1失点で負け投手となった。この日もそうだ。先頭の青木に4度の出塁を許すなど毎回走者は背負ったものの、変化球を低めに集める安定した投球で、7回2失点。「自分の投球はできています。状態はいいです」と納得するのも当然。梨田監督も「試合をつくってくれた。先発としては十分すぎるくらい」とたたえている。

 今季のチームの完封負けは4試合。イコール、それはすべて武田勝の登板日だ。「今は我慢です。意識しすぎても自分が苦しいだけ。相手の投手もいることなので(勝敗は)我慢比べですから。体のケアをして、次を見据えます」。防御率1・76で2勝4敗。不思議さは数字にも表れているが、本人は必死に前を向いた。

 おかしな一夜の結末は、首位陥落。指揮官は「次、なんとか援護しないと」と切り替えた。立夏が過ぎているとはいえ、札幌のこの日の最低気温は7・1度。怪談の季節には、まだまだ早すぎる。【本間翼】

 ◆武田勝が08年8~9月以来、自身2度目の4連敗。この4試合のスコアは4月27日●0-5、5月4日●0-1、11日●0-1、17日●0-2。登板した4試合続けて味方打線が完封されて敗戦投手は、56年7月15~28日杉下(中日)以来、55年ぶり。パ・リーグでは初めてのケースだ。今季の武田勝は防御率1・76をマークしながらリーグ最多の4敗とツキがない。