<楽天2-1ヤクルト>◇20日◇Kスタ宮城

 ベンチの最後方に立って願ったヤクルト由規投手(21)の思いは届かなかった。9回2死一塁、青木が一塁ゴロに倒れると、歓喜の輪をつくる楽天ナインを少しだけ見つめて、ベンチ裏へと消えた。

 地元仙台の凱旋(がいせん)登板。最速156キロで8回7安打2失点と先発投手の役割は果たした。3年連続の楽天田中との投げ合い。「手本になるピッチング。あれだけ三振取って、特にピンチの時に三振が取れる。早めに追い込むところを見習わないといけない」と話す。だからこそ「どうしても勝ちたかった」。

 立ち上がりは力んだ。先制した直後の1回に1安打2四球で1死満塁のピンチを招き、追い付かれた。7回1死二塁からは、内角を狙った148キロの直球が「シュートして中に入った」。左翼への決勝適時二塁打で、重い1点を失った。

 スタンドには仙台育英でともに甲子園に出場した1学年上の斎藤泉さん(享年22)の家族を招待した。由規とともにプレーしたユニホーム姿の写真を持って観戦していた。泉さんの父匡さん(64)は「泉は違う世界から応援していると思う」と声援を送った。

 由規は「とにかく勝利をプレゼントしたかった。それができなくて残念」と悔やむ。この日は敗れたが、今夏のオールスターは開催地をKスタ宮城に変更する可能性が高い。すでに4勝で、このままの活躍を続ければ由規の選出は濃厚。勝利は逃したが、成長した姿は見せた。「しっかり切り替えて、次に臨みたい」と言い聞かせた。【前田祐輔】