<巨人4-3広島>◇8日◇東京ドーム
V奪回の灯は俺たちが消さない!
巨人が0-3の6回、3番長野から7番小笠原まで、今季初の5連打で同点に追いつき、坂本勇人内野手(22)の適時打で勝ち越しに成功した。先発東野を継いだ救援陣も6回以降は1人の走者も出さず、連敗を4でストップ。負ければ、2リーグ制施行後では球団最速となる63試合目での自力優勝消滅という危機を、この日は乗り越えた。原辰徳監督(52)が求めていた「頼れる男」がたくさん登場し、劇的勝利と浮上の契機をも演出した。
こんな巨人が見たかった。3点ビハインドの6回。先頭の3番長野が、広島先発の前田健から右前打で出塁し、ラミレスも左前打で続く。無死一、二塁。阿部は余計な考えは持たず、シンプルに打席に入った。「進塁打は意識しないで、ランナーをかえすことだけを考えていた」と直球に逆らわず、左越え二塁打で長野が生還した。6番高橋由も右前打で続いて、いよいよ1点差。ここで7番小笠原が登場した。
4連打の勢いが、ガッツから力みを消していた。「無心だった」。内角速球をフルスイングで右翼線へはね返した。5連打は昨年7月19日以来、今季初。猛攻に東京ドームがお祭り騒ぎになったが、勝ち越せずに2死までいってしまった。これまでの巨人なら、ここで終わっていたかもしれない。そんなかすかな不安を、坂本が振り払った。「いい場面で回してくれた。思い切っていこうと思っていました」の言葉通り、2球目を左前へ運んで逆転劇を完成させた。岡崎ヘッドコーチは「昨日のサヨナラ負けで開き直れた部分はある。今日は0-3になっても負ける気がしなかった。『ひっくり返そう』。それだけの気持ちで戦えた」と、充実の表情で振り返った。
4連敗中の借金10、負ければ2リーグ制のもとでは球団最速の自力V消滅…。負の数字が並ぶ中、チームは必死に前を向いていた。この日、小笠原も坂本も早出特打を行っていた。「もっともっと成績が上がってくれるようにと思って」と坂本。小笠原も「コーチの方も親身になって付き添ってくれている。期待に応えられて良かった」と緩い球を丁寧に打ち続けた。そんな真摯(しんし)な姿勢が猛攻の足がかりになったのは間違いない。原監督は「本来のメカニックで打てていると、あそこの場面も打てるなと久々に思いました」と小笠原の復調を口にし、坂本には「勝ち越し打というのが、このところ出ていない。2死からですよね、大きかったです」と賛辞を贈った。
依然、厳しい状況には変わりない。自力V消滅の恐れは今日もあり、借金もまだ9残る。だが長野は「1個ずつ返していくしかない。まだまだ優勝は諦めていません」と全員の思いを代弁。連敗中、常々チームを救う「真の男」を求めていた指揮官も「これで流れる状況になるといいですね。6回のイニングだけだったとはいえ、ゲームの中であれだけ『流れた』というのは久しぶりですから」と上昇気流が見えた様子だ。一気に出てきた「真の男たち」が、負の数字をこれから消していく。【浜本卓也】



