<巨人6-3ヤクルト>◇16日◇東京ドーム

 巨人先発の西村健太朗投手(26)が、プロ初完投で2勝目。投打がかみ合った巨人はヤクルト戦の連敗を8で止めた。

 プロ初完投の余韻に浸る余裕はなかった。お立ち台に上がった西村は、興奮気味にまくしたてた。「9回はしんどかったですが、ファンの方の声援で投げ抜くことができました。(完投について)投げ終わったばかりで、分からないです」。139球を投げ抜いた投のヒーローは、味わったことのない境地に、胸がバクバクだった。

 マウンドでは堂々たる姿を見せた。6回1死まで無安打投球。かつての自分のイメージを逆手に取って、ヤクルト打線を幻惑した。プロ入りからシュートが最大の武器。が、この日はシュートに頼らず、カーブ、スライダー、フォークと緩急自在に投球。西武岸から伝授されたカーブでホワイトセルを、オリオールズ上原仕込みのフォークで田中から三振を奪った。

 投手陣を救う完投だった。8回終了時に川口投手総合コーチに「いけます!」と即答。今季もリリーフからスタート。救援陣の連投の疲れを知る男は最後までマウンドを守る覚悟だった。原監督は「9連戦の中で、完投投手が出るというのは、もちろん彼にとっても大きいんですが、チームにとっても非常に大きなこと」と絶賛した。

 義理の父との約束も守った。12日の休養日に京都の央子夫人の実家を訪問。天国から見守ってくれる父の仏壇に手を合わせ、今後の活躍を誓った。9回5安打3失点で今季2勝目。「鶴岡さんのリードが良かったですし、野手の方がよく守ってくれました」と謙虚に振り返る姿は変わらないが、巻き返しのキーマンに名乗りを上げる快投だった。【久保賢吾】