<阪神2-4巨人>◇25日◇甲子園

 エースが肉薄してきた宿敵を突き放した。巨人の内海哲也投手(29)が7回1失点(自責0)で、リーグトップに並ぶ自己最多の15勝目を挙げた。クライマックスシリーズ進出を争う4位阪神と1ゲーム差で迎えた、甲子園では今季最後の「伝統の一戦」。3者凡退は1度だけだったが、粘り強く投げて失策絡みの1失点で阪神との差を2ゲームに広げた。勝利数、防御率はともにリーグトップに立った。

 過程や形なんて、どうでもよかった。内海がマウンドで求めたのは、チームの勝利だけだった。7回を7安打1失点でリーグトップに並ぶ自己最多の15勝目にも「1試合1試合という気持ちで臨んだ結果。素直にうれしいです」と一瞬、表情を緩めただけだった。

 覚悟を決めて臨んだマウンドだった。前日24日の練習。不調の原因を下半身の粘り不足と分析し、疲労が残る中でも下半身強化のメニューを入れた。復活の手応えを得た調整期間を過ごしたが、意気込みを語る内海から出たのは、意外な言葉だった。

 内海

 正直、シーズン序盤に比べれば、調子は良くないんです。でも、今の時期は良くても悪くても勝てればいい。きれいなピッチングなんていらない。フォームは今日までにしっかり修正して、試合では思い切り腕を振るだけ。腕がちぎれてもいいって気持ちで。

 104球を投げ、140キロを超えたのは6球、そのうちの5球は走者を背負った場面。「より下半身を意識して投げた」。勝負どころを冷静に見極めたエースの投球だった。

 シーズン終盤、選手会長が掲げたスローガンは「結束中の結束」だった。

 内海

 僕らは去年、悔しい思いをした。それを忘れちゃいけないんです。優勝のチャンスがある以上、あきらめない。厳しい状況だ

 

 からこそ、もう1度チームが1つになっ

 て。“結束中の結束”ですよ。

 今季、原監督がチームスローガンに掲げた「結束」をさらに強め、チーム一丸で巻き返しを狙う思いを込めた。その思いに同調したのは原監督だった。17日中日戦の試合前ミーティング。「テツが言ってたけど、結束中の何だっけ、テツ?」。「結束です」。「そう、結束だ」と叱咤(しった)激励。チームメートからは「よくわからない」と言われたが「意味なんてどうでもいい。ようはみんなで勝とうってこと」と強引にまとめた。

 4位阪神との差を2ゲームに広げ、首位ヤクルトとは6差。「まだ優勝を狙っていますし、1試合1試合勝っていきたい」。防御率とともにリーグ2冠を奪取したが、自身の記録には最後まで無関心だった。【久保賢吾】