<巨人4-3阪神>◇11日◇東京ドーム

 球界を代表する虎の守護神・藤川と向かい合っても、巨人藤村大介内野手(22)に雑念はなかった。9回1死二塁。「球が速いので、ボールの上を空振りするぐらいの感覚で思い切りいこう」と、迷わず直球一本に狙いをつけた。4球目の直球に、バットを合わせるのではなくしっかりぶつけると、糸を引くようなライナーが左中間へ飛んだ。サヨナラ勝ちが決まると、ベンチから満面の笑みの仲間が走ってくる。「本当に信じられないです」。球界屈指の守護神から放ったプロ初のサヨナラ打だけに、仲間に倒されても笑顔は消えなかった。

 4年目の22歳。今年5月に1軍初出場を果たすと、俊足と好守で二塁のレギュラーにのし上がった。盗塁数も28と単独トップ。課題は打撃にあった。いわゆる「走り打ち」が見られたが「強い打球を打つことを心がけないといけない」と意識づけ。原辰徳監督(53)の助言で「捉える感覚を感じるため」と、打撃練習の最初は素手でバットを握るようになった。体も成長一途だ。9月中旬からはユニホームを太もも回りが3センチ増のものに変更した。「どっしりしたのならいいですけどね」と笑いつつも、強い打球を打つ下地は、着実に育っていた。原監督も「その前の犠飛(5回)も見事でしたね。頼もしいですね」と、伸び盛りの藤村の成長ぶりに目を細めた。

 前日10日にリーグ優勝が消滅し、4位阪神にも2ゲーム差まで迫られた。この日は、東京ドームでの阪神戦で初めて、観客が4万人を下回った。そんな暗雲を振り払った藤村だが「CSに必ず出場しないといけない」と、「観相学」で知られる藤木相元氏から「盗む顔」と称された表情を引き締めた。残りは5試合。イケメンのスピードスターは、CSまで突っ走るつもりだ。【浜本卓也】