<巨人4-1阪神>◇12日◇東京ドーム
しびれた。原巨人が阪神に劇的な2試合連続サヨナラで、クライマックスシリーズ(CS)進出を大きくたぐり寄せた。同点の延長10回、代打高橋由伸外野手(36)がサヨナラ3ラン。中4日で先発した内海哲也投手(29)は10回、147球の完投でハーラーダービー単独トップの17勝目(5敗)。防御率も中日吉見を抜いて1位となり「2冠」に躍り出た。4位阪神とのゲーム差を4に広げた。
声帯を壊すほどの絶叫だった。内海はサヨナラ弾の瞬間、「よっしゃー!」と叫び、勢いよくベンチからダッシュ。笑顔満開の高橋由を力強い抱擁で出迎えた。「声ですか?
かすれてます?
8割方は最後の絶叫(の影響)ですかね」とニヤリ。「打ってくれる」と信じた高橋由の劇的弾に興奮は最高潮だった。
今季初の中4日で、プロ初となる延長10回を147球完投。最大のハイライトは、8回からの3イニングだった。連続3者凡退に抑える圧巻の投球を見せた。サヨナラ弾を放った高橋由も「気持ちも入っていたし、すごかった」と感動する熱投劇。仲間に伝えたのは、勝利への執念だった。
続投を決めたのは、原辰徳監督(53)をも驚かせた自我だった。「8回の時点で打席も回ってくるし、どうかなと思いましたけど、本人が『大丈夫』と。初めて強い意思を僕に表示したものですから」(原監督)。「論ずるに値しない」など、叱咤(しった)激励をされ続けてきた指揮官に猛アピールした。「疲れは全くなかった」と意に介さなかったのは、投げ抜く覚悟ができていたからだった。
優しい男が「勝負の鬼」に変わった。プロ8年目。甘えやプライドは捨てた。フォームのバランスを修正するために、沢村が取り入れる股を大きく広げながらのキャッチボールを導入。「体重移動の確認になる」とルーキーからも学んだ。9月中旬には、2年目の小野に「最初(初登板)の気持ちを忘れてないか。そんなんじゃあかん」と猛ゲキ。チーム内にピリッとした雰囲気を漂わせた。
リーグ単独トップの17勝目を挙げ、防御率とともに2冠を奪取。「吉見君と勝負して、2冠を取りたいです」とお立ち台で宣言したが、目指すべき選手会長像にも近づいてきた。「由伸さんも阿部さんも、プレーや背中でもチームを引っ張ってきた。僕もそうなれるように」。4位阪神を引き離し、2位ヤクルトとは3ゲーム差。最後まであきらめない姿勢を、選手会長が示した。【久保賢吾】



