好条件よりも優勝争いがしたい-。横浜からフリーエージェント(FA)宣言した村田修一内野手(30)が3日、都内ホテルで巨人と初交渉に臨んだ。巨人は背番号「25」と「5」を用意し、三塁手での全試合出場を期待した。条件提示は年俸2億円の2年契約で、前日2日に横浜が示した年俸2億2000万円の3年契約を下回るとみられるが、野球への情熱を最優先する決意をあらためて表明した。今月中旬には結論を出す意向で「巨人村田」の誕生は間近だ(金額は推定)。

 緊張からか、巨人との約45分の初交渉を終えた村田の表情は硬かった。報道陣の前で、笑顔もほぼなかった。それでも口を突いて出るのは巨人への「感謝」ばかり。提示条件は、前日2日に交渉した横浜より年俸、契約年数とも下回ったとみられるが「そこ(条件)は重視していない。まずは優勝争いをしたいというのが第一ですから。(条件に)差がある、ないは重視していません」と断言した。

 巨人からは熱意を示す「2つの話」があった。1つは背番号選択権。村田が横浜でつける「25」と、巨人ではラミレスがつけていた「5」の好きな方を選んでと言われた。「『25』は愛着があるし『5』はジャイアンツで強打者がつけている番号。そういう期待感をうかがえる番号を用意していただいたのは、ありがたいこと」と、素直に喜んだ。

 もう1つは「全試合サード」との期待だった。原沢GMから「優勝を目指す中で、サードで144試合出てほしい。その中で優勝争いができればすごくありがたいし心強い」と訴えられた。巨人の三塁は多くの名選手たちが守ってきた位置。村田も原監督や長嶋終身名誉監督の名前を挙げ「144試合使っていきたいという気持ちはすごくありがたい。(三塁は)ずっとやってきたし、ホットコーナーなので、重視していただいてありがたい」とうれしさをにじませた。その原監督からの「ぜひ一緒に野球をやろう」との伝言も、交渉の席で受け取った。

 今月中旬にも結論を出す考えで「2つの球団に必要とされて本当にありがたい。これから徐々にいろんな気持ちが芽生えてくると思うので、少しずつ考えていきたい」と話した。だが、巨人のイメージをあらためて聞かれると「本当に伝統のある球団。今年も3位に入って優勝を狙えるチームであるのは分かっています。そういうチームに必要とされたというのはうれしい」と思わず決断への最優先事項を口にした。男・村田が、純な思いを貫いて巨人入りを決断する時は近い。【浜本卓也】