巨人内海哲也投手(29)が25日、1月上旬からのグアム自主トレで若手に「プロとしての心構え」を伝授する意向を明かした。山口、東野、小野のこれまでのメンバーに加え、沢村が参加。今月に入って小山の参加も緊急決定した。小野、沢村、小山と来季3年目以内の選手が半数を占める状況に「野球の技術はもちろん、人としての行動、心の部分の話ができればなと思っています」と話した。

 シーズン中から抱いていた構想だった。小野、小山らの素質の高さを認める一方で、野球への取り組みや執着心などに物足りなさを感じてきた。小山はあと2死でプロ初勝利を逃し、小野も先発で1勝は挙げたが、勝利投手の権利まであと1死での降板も経験した。高い能力を持ちながら1軍定着できなかった現状を、内海は「どれだけ自分が野球と向き合っていたか。練習、普段の立ち居振る舞い、その辺を考えなきゃいけない」と分析。グアムでの共同生活を通し、プロとしての精神論などを説く「内海塾」を開講する。

 胸の奥底にあるのは、自身の苦い記憶だった。03年ドラフト自由枠で巨人に入団したが、開幕1軍を逃した。「プロに入ったことで満足している自分がいた。何で、もっと早く気づかなかったのかと。若い選手にはそんな思いはしてほしくない」と振り返るが、この屈辱を境に、野球への取り組みが大きく変化。チーム屈指の練習量で、エースにのし上がった。

 「心の形成&スポーツ」の伝道師として連想されるのが、ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルになった伏見工ラグビー部監督だった山口良治氏だ。涙もろく「泣き虫先生」とも呼ばれたが、内海も今季最終戦に長野の逆転サヨナラ弾で最多勝を獲得し号泣。情に厚く、競技にかける情熱も共通する。この日、ジャイアンツ球場での自主トレを打ち上げ。「やるからには狙っていきたい賞」と沢村賞を目指す来季、南国の地で「泣き虫先生」に変身する。【久保賢吾】

 ◆山口良治氏とは

 現役時代は日本代表にも選ばれ、75年伏見工ラグビー部監督に就任。無名で荒れていたラグビー部を6年で日本一にのし上げた。不良生徒を体当たり指導で一流ラガーマンへ育て上げる姿が反響を呼び、ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルになった。「泣き虫先生」とも呼ばれ、多数の著書がある。