持ってるハヤタ、マルチデビュー!

 阪神ドラフト1位伊藤隼太外野手(22=慶大)が12日、練習試合・日本ハム戦(宜野座)に「1番中堅」でスタメン出場した。初打席で中前に初安打を放ち、一挙6得点の口火を切った。9回裏2死から回ってきた第5打席では、しぶとく右前に運ぶ初適時打もマークして5打数2安打1打点。いいぞ、ハヤタ!

 投手を襲った鋭いバウンドの打球がセンターへ抜けた。1万2000観衆からの視線を受けて向かった伊藤隼のプロ初打席。1ボール2ストライクからの4球目、日本ハム中村の直球を捉えた。緊張のデビュー戦で、いきなりプロ初安打をマークした。

 伊藤隼

 追い込まれて、何とか食らいついていこうと思った結果。ああいう形で点が取れて、勢いをつけられたという点では良かった。気持ち的には楽になりました。

 2番俊介の初球にスタートを切る。バスターエンドランを成功させた。後続も攻撃の手を緩めることなく、打者10人6点の猛攻。切り込み隊長としてビッグイニングを呼び込んだ。和田監督も背番号51の躍動にほおが緩んだ。

 和田監督

 (バスターは)隼太が(塁に)出てくれたから、できたこと。ゲームになると変われる選手だというのを見せてくれた。

 その後3打席は凡退。尻すぼみで終わりかけていたが、野球の神様がラストチャンスを与えてくれた。勝敗は決していたが特別ルールで続行された9回裏。2死一、二塁から大和が四球でつなぎ、第5打席が回ってきた。フルカウントまで粘り、サイド左腕宮本の直球に詰まりながらも右前へ。自動スタートを切っていた走者のカバーに入った二塁の逆をつき、初適時打が生まれた。

 伊藤隼

 回ってきそうな予感はしていた。当たりとしては決してよくなかったけど、食らいついていった結果。ヒットが2本出たけど、それ以外の打席でも、走塁でも満足できない。

 守備では、慶大時代に主将として約190人の部員をまとめ上げてきた持ち前のリーダーシップを発揮した。不慣れな右翼に入った中谷が、2回に落球。失点につながる失策を犯した。「切り替えてバッティングで挽回すればいいから」。伊藤隼は、年下の中谷に優しく声をかけた。

 伊藤隼

 ああいうエラーをすると、誰でも嫌な気持ちになりますから。試合前に俊介さんにも声をかけてもらって、風、状況を確認してやっていこうということだったので。

 先乗り合同自主トレのため沖縄入りした1月下旬から、同じ外野を守る俊介、田上らとの意思疎通を欠かさなかった。「いろいろ聞いたら教えてくれるんです。2人とも頼りにしてます」。2歳上の先輩から学び吸収したことを、後輩へとつないだ。自身のデビュー戦でも地に足がついていた。

 しぶとい打撃、次の塁を狙う走塁姿勢。やるべきことを必死にやって出た好結果だが、満足などしない。1歩ずつ着実に、開幕スタメンへの過酷な道を力強く踏みしめていく。【岡本亜貴子】