巨人宮崎春季キャンプ第3クール最終日の14日、2年目の宮国椋丞(りょうすけ)投手(19)が紅白戦に初登板した。降雨の中、紅組の2番手で登板。阿部、高橋由、長野ら主力相手に2回を被安打1、無失点で抑えた。当初の中継ぎ予定を変更し、19日に行われる阪神とのオープン戦(沖縄セルラー那覇)での先発が決定。勢いのままに開幕ローテ入りまで駆ける。
もやでかすむサンマリン宮崎のマウンドに、宮国が全力で駆けてきた。真っすぐ立って投球練習を待った。雨が強まり、先輩たちは守備の準備に時間を要した。「投げたい」という衝動を、体いっぱいで表現する姿が引き立った。「抑えても、次から次に強打者が出てくる。全力で抑えにいこう」と大きく振りかぶって、胸を借りた。
ストライク先行。3球で2死。打席に大田。真骨頂が背番号55を投ゴロに退けた3球にあった。「外角の精度を確認しました」。低めカーブを見逃し、直球をファウル。最後は、2球目から1球目の高さへ、フォークボールを落とし込んだ。外角の高低、緩急だけで目線をずらし、最後はバットの先っぽに当てさせた。辛口だった「制球にバラツキがあった」の自己採点は、本降りとなった2イニング目のこと。1イニング目の6球で、19日阪神戦の先発キップを手に入れた。
1年前、新人の宮国は本球場から遠く離れた2軍のひむか球場で鍛錬を積んでいた。球団内で共有する育成過程を記したリポートには、初々しさと潜在能力が同居していた。
◆11年2月8日
初ブルペン。原監督以下、首脳陣がチェック。緊張と力みがあるが全く心配はいらない。衆人環視の中、「今日は立ち投げだけでいいですか?」と聞いてきた。周囲に流されない、自分なりの思考を持ち合わせている。20球。
◆同11日
2度目のブルペンで立ち投げ。制球重視で手投げになっている傾向あり。「大きく投げよう。投げるために必要な筋肉をつけよう」と指導。これから1勤2休のペースでブルペンに入れ、立ち投げする。投げない日は、徹底的なゴロ捕で下半身を鍛える。
1年後も、宮国は宮国のままだった。キャンプ1軍スタートで一気に騒がしくなり、第3クールを前に「投げ方が分からなくなった」ほどフォームで悩んだ。連続写真を頼りに研究し、素直なフォームを取り戻し、上げ潮でこの日の登板を迎えた。登板後に「無意識のうちにバランスが悪くなり、しっかり乗り切れていなかった」と反省したが、マウンドは泥んこ状態だった。1年前から増した4キロは投げるために必要な筋肉で、悪条件でもボールを制御できた。
宮国椋丞を通した先に開幕ローテがある。「悔いのあるピッチングはできない。反省点を確認して、練習に取り組んでいきたい」。周囲に流されず自分を通し、体が大きくなって。ふるさと沖縄のマウンドに立つ。【宮下敬至】



