かつて“左のエース”と呼ばれた男が、復活を遂げようとしている。日本ハム八木智哉投手(28)が14日、韓国LG戦(名護)で3回を1安打1失点。「決め球に対する打者の反応が良かった。あとは抜けるボールを修正していきたい」。先頭打者に安打を許した2回こそ内野ゴロの間に1点を失ったが、トータルで見れば上々の内容で今季初実戦を終えた。

 06年の新人王も、昨年は原因不明の股関節痛に悩まされ、1軍登板はわずか3試合に終わった。「今までは危機感がなかった」。だが、今年は違う。故障を恐れ、下半身へ負担が掛からないようにしていた投球フォームを、思い切って06年当時のものに戻した。

 「僕は(先発の)3人目だって狙う気持ちでいる」。ルーキーイヤーに12勝を挙げた自信と誇り。昨季、先発ローテを守った斎藤やウルフへの強いライバル心が、八木本来の魅力である打者へ向かっていく闘争心をかき立てる。

 この日、球場にはパ他球団のスコアラーが集結した。目的のひとつは、もちろん八木。西武亀井スコアラーは「球は力強く、フォームも粘り強くなっている」と話し、ソフトバンク高島スコアラーも「今年はやるな」と復活を予感する。エースのダルビッシュが抜け、大きく空いた先発枠。実績のある左腕の復活は、上位進出を狙う上で欠かせない。【中島宙恵】