もう151キロが出た。巨人沢村拓一投手(23)が21日、楽天との練習試合(沖縄セルラー那覇)に先発。今季初の対外試合で2回を投げ、安打1本で無失点と抜群の安定感を発揮した。最速151キロを記録した力強い直球で三振を奪うなど、進化を続ける2年目右腕が、先発ローテーションの軸として確かな成長を印象付けた。
鋼のような肉体から剛球が放たれた。先頭聖沢への6球目。沢村は実松のサインに首を振った。自ら選んだ球種は直球。65センチの太ももにたっぷり力を蓄え、プレートを一気に蹴り上げ、151キロを内角へ投げ込んだ。際どい判定でボールだったが、7球目は同じ場所に150キロ直球。バットすら振らせず、あっさり三振斬り。打者も、球審も圧倒的な球威で制圧した。
2回を投げ打者6人に対し許した安打は1本だけ。今季初の対外試合で、いきなり151キロを計測し「1回から9回まで続けられるようになることを目指している。体重を増やして徐々に自分の理想の動き、正しい動かし方になってきた」。フォームも肉体もまだまだ完成途上の中での手応えを口にした。
昨年から約7キロ増量し、ウエートトレーニングで体を大きくしたことも、あくなき向上心のたまものだった。「筋肉がついて肩の可動域が狭くなると指摘する意見があるが、そこはトレーニングで解決出来ると思う。向上するために自分を変えていかなければ成長はない」。野球界で過去の経験から導き出された実例に恐怖や不安を抱くのではない。むしろ「2年、3年とかかるかもしれない。でも、自分がクリアすれば、それが新しい意見にもなると思う」と、過去の成功サンプルをなぞるのではなくオリジナルの「沢村流」を追求している。
だからこそ、ただ投げ、ただ結果を出すだけでは、現段階においての達成感は皆無だ。この日のテーマは「ストレート中心の中で変化球を試していきたい」。直球という長所を生かしながら投球の幅を広げる方法を生身の打者を相手に模索した。初球に関して言えば、直球、スライダー、カーブをテスト。フォークを除く持ち球をふんだんにちりばめ、テーマに沿った投球に徹した。勝敗以外の明確な目的意識を持って臨んだ場で結果も出したことが「2年目・沢村」のすごみでもある。
「紅白戦とは違う緊張感があった。他球団の打者と対戦できて良かった」。さらりと話す姿には、2年目ながらローテーションの主軸を担う投手としての貫禄と風貌が漂っていた。原監督も「この時期に150という数字が出ていることは悪いことじゃない。非常に良かった」と絶賛。開幕投手に関しては「悩みはない。3人のうちの1人ですよ。その順番だけです」と、実績で勝る内海、杉内と同等の信頼を示した。
「ダルビッシュさんと自分はレベルが違う。自分なりのアプローチを探して向上していなくてはいけない。これでもか、これでもか、というぐらい高みを目指し続けたい」。試合後、当たり前のように沢村は追加練習に向かった。【為田聡史】
◆昨年同時期の沢村
2月24日、この日と同じ沖縄セルラー那覇で行われた、韓国・ハンファとの練習試合に4回から2番手で登板。プロ初の対外試合で、いきなりの連続安打で無死二、三塁のピンチを招くも、後続を2連続三振と左飛。2イニング目は2連続三振と一邪飛で3者凡退。最速は149キロ、2回を32球の2安打無失点だった。2月の150キロ台は速い。最近では由規が08年2月25日に楽天との練習試合で、ダルビッシュが昨年2月24日の韓国・サムスン戦でそれぞれ154キロを出している。



