<オープン戦:DeNA4-3巨人>◇25日◇沖縄セルラー那覇
ひと振りで古巣を凍り付かせた。6回の第3打席、1ボール2ストライクからの5球目。巨人村田修一内野手(31)は129キロスライダーにも力むことなく、スイングラインにボールを乗せた。オープン戦2号ソロは左翼席へ落ちた。「2死だったので長打を打てればいいかな」との狙い通りだったが、淡々とベースを1周した。「感じよく振れた。でもまさかいきなり(古巣との)初戦で打てるとは思ってなかった」。率直な感想だった。
未体験の感覚に襲われていた。試合前こそ、次々にあいさつに来る元同僚に笑顔があふれた。だが試合が始まれば、新たな思いが生まれた。「いつも後ろを守っていた投手を打つし、いつも一緒だった選手が守っていて…。やりにくかったし、違和感があった」。センチメンタルな感情に加え、「相手に行かれて嫌だなと思ってもらえるようにしたい」との意地もあった。それらが、不必要な力みにつながってもおかしくはなかった。
だが、未然に防ぐ「サイン」は感じ取っていた。23日の打撃練習中、左手だけに革手袋をつけた。「素手で打ちたかったけど、マメができてしまって」。マメができにくい体質だけに、「できるときは力が入りすぎている」というシグナルだった。「これで逆に意識できるんです」。2日前に左手に感じた小さな痛みが、この日の力みのない美しいスイングにつながった。原監督も「非常にゆったりと、タイミングの取り方が非常にいいと思いますね」と賛辞を惜しまなかった。
初対決後、「明るさがあった。機動力もよく使っているし、そういう意味でちょっと変わってきたかなと思う」と古巣の印象を口にした。一方で、本塁打だけでなく、第1打席では一ゴロに全力疾走し失策を誘った。打って、走って。巨人村田として、「やっぱり村田は怖い」との恐怖心を、DeNAにしっかり植え付けた。【浜本卓也】




