宮国が沢村を追いかける。巨人宮国椋丞投手(19)が27日、キャンプ最終戦、韓国・SK戦に2番手として登板。変化球中心の投球で2回を1安打無失点に抑えた。先発した沢村拓一投手(23)は直球中心の投球で2回を3安打2失点。宮国は開幕ローテーション入りへ「結果」を追求し、沢村はシーズンに向けて準備の「意識」を貫いた。2年目コンビが今季、そして将来の巨人投手陣をけん引する。

 宮国がちょうど1年前の沢村の姿に重なった。開幕ローテーション入りを目指し、貪欲に結果を追い求めた。阪神とのオープン戦(19日)に続く、キャンプ2度目の対外試合登板。SK打線に1安打無失点で打者8人から3奪三振をマークした。だが、試合後の表情は曇りっぱなし。「前回よりも制球力も球も悪かった。カーブでストライクは取れたけど、コースがダメ。1歩間違えば打たれていた」と反省の弁を並べた。

 ただ、本人の表情が雲っても1軍初登板から5イニング無失点、7奪三振の事実は曇らない。原監督も「精度もズンズン上がっている。私の中では手応えを感じている」と評価。初の1軍キャンプで、アピールし続けた宮国はキャンプ最終登板を終え「見えないけど、疲れは体に表れている。宮崎キャンプの初日から疲れを感じながらやってきた」と本音を漏らした。

 今キャンプ中、プロでの実績がない宮国を背中で引っ張ったのが沢村だ。今季先発投手陣の主軸を担う沢村は、注目ルーキーとして臨んだ昨春を思い返しながら言った。「宮国は、まだ1軍1年目。ぼくは先輩から『好き勝手にやれ』と言ってもらった。自分が大学2年のときに、変化球でストライクはとれなかった」。同期入団の宮国に“先輩”として助言を送り“後輩”の能力を認めた。

 沢村は2失点したが全26球中21球が直球。「今の時期だからできることをやる」と、1回2死一、二塁のピンチでは市川のサインに首を振り、あえて内角直球を投げ込んだ。直球には強いとされる韓国選手に適時打を許したが、シーズンへの準備に徹する「意識」に重きを置いた結果だった。「球の勢いがなかった。悪いときの体の使い方をしてしまった」と、高いハードル設定の中で課題を見つけた。

 宮国は沢村を見つめながら言った。「物おじしないし、自信を感じる。自分のやりたいことをやっているのがすごいと思う」。現段階では沢村と立場が違うことは分かっている。だからこそ、全29球中18球の変化球を駆使して結果にこだわった。「自信というよりは結果がゼロだった。これから上にいくために内容にこだわっていきたい」。沢村が昨年歩んだ道を進むために、沢村のような意志力を持って前に進んで行く。【為田聡史】