<広島4-0巨人>◇3日◇マツダスタジアム

 期待の移籍右腕がセ・リーグ野球の洗礼を浴びた。ソフトバンクから移籍の巨人先発デニス・ホールトン投手(32)が広島戦で今季初先発。高めのつり球に手を出してこない相手にてこずり、2回に3連打で先制点を奪われる。6回にはフィールディングのスキをつかれ、スクイズを決められた。7回途中2失点では責められないが、昨季のパ最多勝(19勝)も面食らった格好だ。打線は早くも今季2度目の完封を食らった。

 マウンドでフラストレーションがたまったのは、強風でも霧雨のせいでもなかった。ホールトンは「セットで投げる時間が長くて、しんどかった。特別、力のある選手はいないんだけど…。当てるのがうまく、ファウルで粘って、つないでくる」と首を左右に振って移籍初登板を振り返った。昨季19勝のパ最多勝。鳴り物入りで加入した助っ人が、広島の「伝統芸能」に苦しんだ。

 「コントロールが悪かった」と反省したが、そう思わせたのは、広島打線に明確なコンセプトがあったからだ。自慢の高め直球、つり球を振ってもらえなかった。左右に加え、緩いカーブとの高低で打者の視点をずらす持ち味を消され、ボール先行になった。高めのつり球は、パの勝てる投手がこぞって活用している。だがセでこのボールを駆使する投手は、同僚の沢村くらいしか見当たらない。圧倒する球威がないと、広島に限らずそう簡単には振ってくれない。リーグの野球スタイルの差が、いきなりのしかかった。

 6回1死満塁では、3球目にスクイズバントを決められた。ホールトンは「スクイズは頭になかった」と、また首を左右に振った。特に直球を投げた時、投げ終わりで体が一塁側に大きく流れるクセがある。広島倉にそこを突かれ、絶対に取れない、やや三塁側の空間に転がされた。

 スクイズは広島が好む戦略だ。直前の1死一、三塁では警戒を重ね、結局四球で歩かせていた。倉に1球投げた時点で川口投手総合コーチがマウンドへ向かった。「ゴロを打たせゲッツーを狙おう」と確認したが、カウント1-1でのスクイズこそ警戒が必要。内野陣の声掛けも乏しかった。原監督は「本当に粘り強い。よく2失点で踏ん張った」とした。ホールトンが繊細な野球になじむまで、周囲のケアにも繊細さが求められる。【宮下敬至】