巨人は23日、川崎市のジャイアンツ球場で野手陣が練習を行った。試合のない日は原則休日となるが、野手全員が集まり練習するのは今季早くも2回目。借金7で最下位に沈む元凶の貧打を解消しようと必死だ。練習の大半は非公開で行われた。サインプレー以外の練習で公開なしは巨人では極めて異例のこと。高橋由伸外野手(37)は金属バットで打ち込み、岡崎郁ヘッドコーチ(50)はバットを短く持つ重要性を力説した。なりふり構わず自慢の打力を取り戻す。

 霧雨と濃霧に包まれたジャイアンツ球場が、虎の穴と化した。室内練習場をシャットアウトして1時間が経過すると、響いてきたのはプロの世界では聞き慣れない金属の反発音だった。音の主は15年目、37歳のリードオフマン高橋由だった。「その辺に置いてあったの。自分用じゃないよ。たまにやるんだよ」とし、その音の意図を続けた。

 高橋由

 軽いから負担がない。というか、単純に手が痛くないから、気にしないで打てる。バッターボックス1個か2個分、前に出て打った。近い分、速く感じる。思い切り振って、バットの軌道を確認したかった。

 悩みは尽きない統一球対策。折れる心配のない金属バットでボールの重さに煩わされないよう手を打ち、“マン振り”でスイングアークをチェックした。

 5連敗、借金7、6・5差、単独最下位…。その元凶は貧打であることは、巨人軍の統一見解である。20試合を消化して、2点差を逆転した試合がまだない。ずぬけた個の力に託し「紳士たれ」を貫いて、悠長に構えては手遅れになる。希代のヒットマンが何げなしに握った金属バットは、格好など気にせずきっかけをつかみたい決意の表れだった。

 決意を秘めるのは、選手だけではなかった。「体のキレは、マン振りでしか出ない」と高橋由の取り組みを評価した岡崎ヘッド。実は現役時代、バットを指1~2本分ほど短く持ち、クリーンアップを張っていた。一方で現在の主力は、バットの遠心力をフル活用しようと、総じて長さいっぱいに握る。プライドを傍らに置くことも今、必要だと感じている。

 岡崎ヘッド

 特に今のボールは、遠心力で飛ばすより、芯に当てた方が飛ぶ。少しでも短く持つことで、芯に当たる確率も上がる。いきなりは難しい。でも「こんな引き出しもあるよ」と、粘り強く話していきたいと僕は思う。

 1時間30分にも及ぶ密室での訓練が終わった。不振の小笠原、ボウカーを直接指導した原監督は、「カメラのシャッター音、報道陣の皆さんが歩く姿。集中して練習、バッティングをしたかった。協力してもらって、ありがとうございました」と丁寧に頭を下げた。「どういう状況の中で、こうなったのか。各自が立ち向かって、クリアしていく」。泥くさく前だけ見る。【宮下敬至】