<巨人7-2阪神>◇28日◇東京ドーム

 こりゃ、ホンモノだ。1点を先制された巨人はその裏、苦手の阪神能見に襲いかかり、能見の失策もあって3点を奪い逆転。3回には高橋由の適時打で2点を加え、能見をマウンドから降ろした。4回には長野が右中間に今季1号ソロを放つなど、2試合連続の2ケタ安打。15得点した26日のDeNA戦に続き、大勝した。「種火」が「炎」となり、ゴールデンウイーク9連戦の初戦を華々しく飾った。

 巨人の試合前練習に小さな変化が生まれている。阿部が、長野が、村田が、ティー打撃でバットを短く持っている。フルスイングにいそしむ姿は見当たらない。寺内、藤村らは当たり前に、そして長野も黙々と、早出から右打ちに徹している。長野はコースに関係なく、内角球もライト方向へ、ライナーを打ち返している。5連敗を喫した22日ヤクルト戦以降、あちこちで目立ってきた変化だ。

 貧打に苦しみ続けてきた。強振で相手の術中にはまり、ボール球に手を出す悪循環。「フェンスは簡単に越えない。野球が変わっている」とする岡崎ヘッドコーチは、選手に説いた。

 岡崎ヘッド

 同じ失敗を繰り返して時間ばかり流れていては、「巨人は何やってるんだ」と相手に思われてしまう。今まで出来たんだから待とう、では遅い。

 意識の変革を訴えたかった。

 岡崎ヘッド

 一流の職人さんは、状況、状況で必要な道具を選択し、使いこなして仕上げていく。カンナだけ使えてもダメだし、のこぎりだけでもダメ。懐にさまざまな道具を抱え、全部を使いこなしてこそ職人と思う。我々は野球の職人なんだから。こんな道具もある、って手助けしたい。

 バットを短く持つことも、もちろん、立派な道具になる。「現に西武の米野は、短く持って満塁本塁打を打った。ファルケンボーグからね」と続けた。

 岡崎ヘッド

 短く持つとスイング軌道が変わる。だから打ち方も変わる。簡単じゃないよ。でもね、短く持つ利点は間違いなくある。際どいボールでもバットが止まる。

 1回、阿部とボウカーが選んだ四球。能見の際どい低めの球に、すんでのところでバットが止まった。4回、長野が放ったダメ押しの1号ソロ。外角球を追いかけず迎え、練習通り、センターから右方向へと打ち返した。続けて犠飛を放った村田も「ヘッドから話してもらった。少し短く持ってしっかりコンタクトするのも1つの手。今日は低めの変化球をしっかり見極めることが出来た」と明かした。

 2試合連続2ケタ安打は偶然じゃない。豪傑たちが、宮大工のような繊細さを兼ね備えようとしている。【宮下敬至】