<オリックス0-6巨人>◇3日◇京セラドーム大阪

 巨人山口鉄也投手(28)が大魔神に追いついた。オリックス戦の8回に2番手で登板し、1イニングを無失点。開幕からの連続無失点試合を24とし、元横浜の佐々木主浩が98年に樹立したセ・リーグ記録に並んだ。入団テストを経て、05年に育成選手としてプロ入りした7年目の左腕が、「セ界一」のセットアッパーとなった。

 快記録に到達しても、山口は顔色ひとつ変えなかった。これまでと、何も変わらない。だからこそ、絶対的な安定感と安心感があった。6点リードの8回。2番手としてコールされた。わずか5分足らずで3者凡退にきった。自信に満ちあふれた14球。いとも簡単にスコアボートに「0」を掲示させ「とりあえず、自分の仕事ができて良かったです」と、淡々と振り返った。

 ベンチでチームの勝利を見届けると、少しずつ記録への実感がわいてきた。「僕は小さいときベイスターズファンだったので、佐々木さんの投球は見ていました。雲の上のような存在です」。少年時代にファンとして熱視線を送った、あこがれの大先輩に並んだ。「ストッパーはもっと難しい。僕は今日みたいに少し余裕がある場面でも投げさせてもらっている。比較するのは申し訳ない」と、謙遜しつつも「すごい先輩の記録に並べたことは素直にうれしい」と、遠慮がちに言った。

 離脱中の久保、越智への思いも背負っている。「久保さんは育成出身の僕を区別しないで、いつも、ご飯に誘ってくれた。越智も、みんなでブルペンを頑張っていこうとやってきた」。今季中の復帰は絶望的な2人の戦友の魂が山口の胸には宿っていた。開幕から346球。本塁は1度も踏ませず、防御率0・00を守り「2人の分までという思いは当然あります」と、マウンドに上がれない仲間を思いやった。

 主戦場にしているセットアッパーの醍醐味(だいごみ)とは何か。「すごいピンチの場面で、相手の勢いを1球で断ち切れるような投球ができたときに、すごい充実感を感じる」と、即答した。苦難を恐れず、われ先に立ち向かう。心境の変化を表情で悟られてはいけない。いかなる状況でも涼しい顔で、左腕を振り続ける山口に敵はいない。【為田聡史】

 ◆山口鉄也(やまぐち・てつや)1983年(昭58)11月11日、神奈川県生まれ。横浜商卒業後、米ルーキーリーグで4年間プレーし、05年育成ドラフト1巡目で巨人に入団。07年4月に支配下登録され、08年から史上4人目となる4年連続60試合登板を達成した。08年新人王、09年最優秀中継ぎ投手。昨季までの通算成績は305試合、35勝7敗、13セーブ、105ホールド、防御率2・28。184センチ、86キロ。左投げ左打ち。血液型A。

 ▼山口が今季初登板の3月31日ヤクルト戦から24試合連続無失点。無失点記録はイニングで数えるが、セ・リーグでは連続試合無失点を調べており、セ・リーグ記録は06年藤川(阪神)の38試合で、開幕からは98年佐々木(横浜)の24試合が最長。山口が開幕24試合連続無失点のセ・リーグ記録に並んだ。開幕からの連続イニング無失点はプロ野球記録が39年高橋敏(阪急)の38回1/3、セの記録は63年中井悦雄(阪神)の31回。現在、山口のイニング数は25回1/3。次は中井、高橋の連続イニング無失点が目標となる。