<ソフトバンク1-5巨人>◇5日◇福岡ヤフードーム
あぁ、1安打されちゃった…と思うぐらいすごい。巨人杉内俊哉投手(31)が、昨年まで在籍した古巣ソフトバンクを相手に7回1安打無失点の快投を演じ、ハーラー単独トップの8勝目を挙げた。前回5月30日の楽天戦でノーヒットノーランを達成した左腕は、1回いきなり5球連続ボールと荒れ模様の立ち上がり。だが即座に修正し5回2死まで安打を許さなかった。史上初となる2試合連続の大記録は逃したものの、防御率0・96と0点台に突入した。5月月間MVPの勢いが一向に止まらない。
杉内がおかしい。阿部のミットは四方八方に乱れた。球場がざわつく。「なかなか(ストライクが)入らなくて。いや、焦りましたよ」。1回、先頭明石への初球は逆球のボールで始まり、4球続けた直球は、ことごとくベースを外れた。四球で歩かせると、2番本多への初球も直球が大きく高めに抜けた。「前回ノーヒットノーランをやって、今日もいいピッチングをしないといけないという、変なものが邪魔をしていたのかもしれない」。表情が固まった。
6球目に入る前にナインがマウンドに集まる。村田から「ちょっと投球の間が早い。いつも通り、ゆっくりでいいんじゃない」と、微妙な誤差を指摘された。下を向き、土をならしながら、うなずいた。1球ボールの後、7球目で本多に犠打を許したが、この試合、初めてのアウトを取った。「犠打が良かったわけじゃないけど、1死とれたことで開き直れた。野手のみなさんには感謝しています」。続く内川を二ゴロ、松田を空振り三振に仕留めピンチを切り抜けた。
あっという間に修正を施し、7回を投げ終えて降板するまで被安打1の8奪三振。いつもの杉内に戻った。その修正術が勝負強さを支えている。登板直前のブルペンで変化球の曲がりが浅いと判断すると、ひじの位置を下げ、ボールを抜きやすく微調整。阿部から「肘が下がってるよ」と、指摘されると「あっ、バレました?」と、見抜かれたとばかりに、いたずらっぽく笑う。ソフトバンク時代も直球がシュート回転すると見るや、プレートに掛ける足の位置を少しずつ動かして修正してきた。「今日は真っすぐが走っていたので」と、この日は、精神的に開き直ることで誤差を埋めた。
10年間過ごしてきた「敵地・ヤフードーム」で、6月も白星スタートで自身7連勝。「ジャイアンツのユニホームで1勝を挙げられたのがうれしいですね」と、杉内がいつものように勝ち星を手にした。【為田聡史】
▼杉内が7回を1安打、無失点で8勝目。ノーヒットノーランを達成した次の試合で完封勝利は1リーグ時代の48年真田(大陽)が最後で、「ノーヒット」→「1安打完封」ならば史上初の快挙だっただけに、7回で降板は惜しかった。これで5月23日西武戦から24イニング連続無失点となり、防御率は0・96と0点台に突入。90年以降、6月以降に防御率0点台(規定投球回以上)は93年伊藤(ヤクルト)09年田中(楽天)同年大竹(広島)に次いで4人目。2リーグ制後、最終的に防御率0点台を記録したのは70年村山(阪神=0・98)しかいないが、杉内はどこまで0点台を続けられるか。



