<日本ハム6-8巨人>◇13日◇札幌ドーム
見たか、佑。巨人が公式戦初対決の日本ハム斎藤を血祭りにあげ、交流戦優勝マジックを点灯させた。4回まで無得点に抑えられていたが、5回に長野久義外野手(27)が先制の6号2ラン。これを合図に斎藤に11安打を浴びせ、6回途中でKOした。後続の投手も打ち込み、今季最多の16安打、8得点で大勝。先発内海哲也投手(30)は7回1失点で、交流戦最多タイ記録の9連勝で6勝目を挙げた。2位ロッテが引き分けたため、マジックは2。早ければ今日14日にも、セ球団初の優勝が決まる。
粘り腰の斎藤を砕いたのは、長野だった。毎回安打も先手を奪えずにいた5回1死一塁。弓矢のごとく左腕を引き、力強く構えたトップを、いきなり射抜いた。「スピードガンよりも速く感じた」、138キロのツーシーム。斎藤の軸球だった。ベンチから「思い切って狙っていい」の許可を得て、初球から食い込んでくる軌道に合わせた。原監督の言葉通り「空気をガラリと変えた」。せきを切って安打がつながった。日本ハムの「18」を背負う佑に11安打。6回途中KOを種火とし、巨人が交流戦優勝マジックをともした。
斎藤から長野3安打、高橋由3安打。投球を受け止め、はじき返す横綱相撲だった。ただ、格上の主軸が結果を出すために、黒子に徹した男たちがいた。むしろ際立ったのは2番谷であり、9番寺内だった。
長野の本塁打直前、寺内が右前打。本塁打直後、谷が四球。パを寄せ付けない強さの原動力はこの「つなぎ」にほかならない。黒子は主役に転じる実力も備える。6回、谷の適時打で斎藤は降板。寺内は7回、原監督が「テラがね。あそこで打ったことは評価できる」と指摘する中押しの犠飛も放った。主役、わき役は関係なし。波状攻撃が決まった。
試合開始4時間前。謙虚な日本ハム栗山監督は、こんな言葉で斎藤はじめ選手たちを送り出していた。
栗山監督
現役時代、強い巨人になかなか勝てなくて必死だった。我々が倒すのに必死になっていた巨人に、今はなっている。今の巨人を倒せば、財産になるから。
時を同じくして一塁側のベンチ裏。阿部はもう、汗びっしょりでティー打撃に精を出していた。3年前、主将らが中心となってお願いし、取り組み始めた自主練習。伝統となり、当たり前の光景になった。8回に救援陣が5点を失い、自分の2ランがなければ…の展開に、阿部自身は納得いかない。「最後しっかりしなくては」と険しい顔で引き揚げた。
今の巨人は目先に一喜一憂しない。「ペナントを奪うことが最大の目標」とする原監督もマジック点灯に興味なし、といったふうだった。「マジックって、分かんないよ。悪いニュースじゃないけど、当面の目標は違う」。ぶつかってくる相手を力で制す。もう、交流戦ゴールのその先まで見ている。【宮下敬至】
▼巨人○、ロッテ△の結果、巨人に交流戦優勝マジック2が点灯した。ロッテは残り4試合に全勝で15勝5敗4分け、勝率7割5分。巨人は残り3試合を2勝1敗ならば18勝6敗となり、ロッテと同率の7割5分。2チームが同率の場合は勝利数の多いチームが優勝のため、このケースでは18勝の巨人が優勝となる。早ければ今日にもセ・リーグのチームでは初となる巨人の優勝が決まり、14日Vの条件は巨人○、ロッテ●のケースだけ。



