<巨人6-2広島>◇12日◇東京ドーム

 右へ左へと豪快に運んだ。巨人長野久義外野手(27)が、プロ初の2打席連続本塁打を放った。1回、広島今井の初球を、右翼席へ今季2度目の先頭打者弾となる10号ソロ。2回には11号ソロを左翼席へ突き刺した。8回2死満塁からは中前に2点適時打を放ち、4安打4打点の大暴れ。来場者に選手と同じオレンジのユニホームがプレゼントされた満員の東京ドームで、リードオフマンが存在感を強烈にアピールした。

 ドーン!

 ドドーン!!

 長野が右へ左へぶち込んだ。1回、広島今井の初球。ど真ん中に入ってきた121キロ直球を見逃さなかった。「中途半端な打撃だけはしないようにと。昨日負けているので、なんとかチームに勢いを与えられて良かったです。本塁打は出来すぎですね」。完璧に捉え逆方向のスタンドに軽々と放り込んだ。自身2度目の先頭打者本塁打は3年連続の2ケタ弾。10号先制ソロで「長野祭り」の幕開けを告げた。

 2回2死で迎えた第2打席も勢いはそのまま継続した。2ナッシングから抜け球の内角フォークを体を開き気味にして、迷わず強振。「芯でとらえることができた」と、今度は左翼席へ自身プロ初となる2打席連続本塁打でリードを4点に広げた。2点差に迫られた8回には、2死満塁から広島4番手の中田の初球を中前にはじき返す、2点適時打で勝負を決定付けた。

 切り込み隊長として100点満点の仕事ぶりも、この試合前の時点で打率2割7分8厘はセ・リーグ9位。昨季の首位打者にとっては、決して満足できる数字ではない。特に今季開幕直後は不振にあえぎ、象徴的だったのが4月6日の阪神戦。2三振と2邪飛でボールが前にすら飛ばない4打数無安打に沈んだ。

 その日の試合後に長野の心境を変える出来事が起こった。「甲子園のときに阿部さんからアドバイスをいただいて。そこが僕にとっての分岐点だった」。宿舎で阿部の部屋に呼び出され「『チャンスだと思ったら思いっきりいけ』ってことだけ。自分のタイミングでできてなかったからさ」と、膝をつき合わせて語りかけてくれた主将の言葉で我に返った。長野は「自分が打てていなかったので責任を感じていた。でも、このチームには、もっとすごい選手がたくさんいる」と、ある意味で開き直れた。

 この日は5打数4安打4打点の大活躍も「1番?

 難しいですね」と、己への厳しさは変わらない。ただ、はっきりと断言した。「淡泊だと言われることもあるけど、自分はそういう打者なんで積極的にいこうと」。実数発表になった05年以降最多の4万6831人の観衆に、その生きざまを堂々と披露した。【為田聡史】