阪神小林宏投手(34)が来季の戦力構想から外れていることが15日、分かった。11年にFA権を行使し、2年契約を結んだ。藤川につなぐセットアッパーの役割を期待されたが、本領を発揮できなかった。今季は1軍での登板が1度もなく、契約更新は見送られる方向だ。

 阪神にも秋風が吹く季節になった。FA移籍した小林宏がわずか2年在籍しただけで、来季の戦力構想から外れた。

 小林宏はロッテ時代に先発&抑えで活躍。10年オフには海外FA権を行使し、メジャー移籍を目指したが、有力なオファーがなく、挑戦を断念。中継ぎ補強に力を注いだ阪神と2年契約を結んだ。しかし、新天地は苦難の連続だった。昨年は藤川につなぐ「8回の男」として、セットアッパーの役割を託されたが、救援失敗が目立った。42試合に登板し、1勝5敗、21ホールド、防御率3・00の成績で移籍1年目を終えた。

 捲土(けんど)重来を期した今季だが、復調の兆しが見られない。現時点で1度も1軍に昇格することなく、開幕からの2軍生活から抜け出せなかった。追い打ちをかける「事件」も起こった。6月14日の阪急阪神ホールディングス株主総会では、株主から「外から城島や小林(宏)を呼んでも活躍していない。給料は高いのに、不良債権を抱えているだけだ」と名指しで批判された。チームはBクラスに低迷する状況で、チャンスが与えられることなく、この日に至っている。

 チーム再建が急務の阪神は、今オフに大がかりな改革を断行する方針だ。すでに中村勝広GM(63)が就任。前夜には南信男球団社長(57)や和田豊監督(50)らを交えて、拡大編成会議を行った。会議は深夜2時にまで及び、コーチスタッフや現有戦力の分析、見直し作業が進められた。この日の昼食時にも、球団首脳が集まり、話し合いの場がもたれた模様だ。

 大ベテランの金本が今季限りの現役引退を決断。和田阪神2年目の再出発に向け、チームは投打ともに若返りを図る。その流れに逆らうことができず、小林宏は2年でタテジマのユニホームを脱ぐことになる。

 ◆小林宏(小林宏之=こばやし・ひろゆき)1978年(昭53)6月4日生まれ。埼玉県出身。春日部共栄から96年ドラフト4位でロッテ入団。先発、中継ぎ、抑えをすべて経験。10年には自身初のクローザーとして29セーブを挙げ、日本一に貢献。同年オフにFA宣言し、大リーグ挑戦を模索するが、最終的に阪神と2年契約。移籍1年目の昨季は42試合に登板し、1勝5敗、防御率3.00。今季は1軍での登板はなし。2軍で23試合に登板し、2勝4敗2セーブ、防御率3.51。通算成績は370試合に登板し、75勝74敗、29セーブ、防御率3.53。184センチ、79キロ。