お待たせしましたが何か…。オリックス井川慶投手(33)が11月30日、お得意のマイペースで契約更改した。正午から交渉開始だったが、トレーニングを優先して1時間半も遅れて登場。遅刻?

 保留?

 と気をもませたが、2年契約の2年目とあって、現状維持の年俸1億円(推定)でサインした。交渉自体はわずか10分。この調子で、来季は相手打線を翻弄(ほんろう)だ~?

 待てど暮らせど、出てこない。井川が交渉場所の合宿所から一向に姿を現さない。会見開始の午後1時もあっさりとオーバーした。2年契約で争点はないはずなのに…。午後1時43分にやっと選手寮から出て、車に乗り込んだ。ほっともっと神戸の会見ではサインの可否を聞かれて「どうですかねえ。交渉は2時間半ぐらいですかね」と笑った。

 マイペース男の真骨頂だ。球団でトップを切って契約更改。午前9時半にふらりと選手寮に到着。ノーネクタイのスーツ姿に、なぜか大好きなクレーンゲーム機のぬいぐるみがつまった2つのポリ袋も持ってきた。タオルを首に巻いてランニングなど、約4時間も汗を流して、肝心の交渉はたったの約10分で終了した。交渉役の中村順編成部国際グループ長は「僕は2時間は待ちました」と苦笑いだ。

 この日は、井川がトレーニングするために、交渉開始時刻はざっくりと正午だった。だがまさかのフルメニュー消化。井川は「すべてこなしてからです。交渉のスタートは午後1時すぎてましたね」とあっけらかんと言った。

 6年ぶりの日本復帰はけがにも泣いて、2勝7敗に終わった。米国流の代理人交渉ではなく、久々に日本式の契約更改会見に臨んで「もういいでしょう、会見は。誰も見ていないですよ、誰も興味ないですよ」。ぼやきも連発したが、会見途中には「(写真の)フラッシュがまぶしくて話しづらい」と自ら写真撮影タイムを設定。順番にカメラ1台ずつと笑顔で目線を合わせるサービスぶりだった。

 来季は10月の左肘手術から復活を狙う。阪神にFA移籍した日高から「阪神に入って、なんか(新聞の)1面になった」と言われて「オリックスも負けないようにしないとね」と言う井川。う~ん、でもそんな感じには見えませんけどねえ…。【益田一弘】<井川のマイペース・アラカルト>

 ◆だっぺ

 阪神では、からかいの意味も込めて、茨城の方言で「~だろう」を意味する「だっぺ」のニックネームが定着した。20勝した03年、当時の岡田監督が「エースにふさわしくない」と苦言を呈したが、本人は「わかりやすくていいと思います」とあっさり容認。

 ◆寝てました

 阪神から06年オフにポスティング・システム(入札制度)でヤンキース入り。沼沢球団本部長から電話で約2600万ドル(当時のレートで約29億9000万円)の最高入札額を伝えられると「寝てました」。

 ◆大暴投

 ヤンキース入団1年目の07年フロリダ・キャンプ。ブルペンでの1球目は、正捕手ポサダが差し出したミットのはるか上への大暴投。後方のケージの隙間から外へ出て、カメラマンに当たった。さらに3球続けて上ずる乱調。それでも「日本でも最初はあんなもんでしょ」と平然。