西武片岡易之内野手(29)が、来季の登録名を「片岡治大」に変更することが30日、球団から発表された。読み方は「やすゆき」で同じだが、大幅に漢字を変更。球団を通じ「登録名を変更し、心機一転、来年は勝負の年にします」とコメントした。07年から4年連続盗塁王を獲得した球界屈指のスピードスターが、新たな登録名とともに、野球人生の第2幕を踏み出す。

 負の連鎖に終止符を打ち、新たなスタートを切るための印だった。抜群の盗塁センスと守備力の高さを買われ、09年にはWBC日本代表に選出された。西武では不動のトップバッターに君臨した。順風満帆に進んできたものの、立ちはだかったのは度重なる故障だった。昨年は両肩を脱臼。10月には左肩にメスを入れた。手術の影響で、今季も開幕は2軍スタートだった。5月に復帰したが、7月10日のソフトバンク戦の守備中に右手首を痛め、9月に手術を受けた。

 ともにグラウンドでの全力プレーが生んだ悲劇。野球を始めた頃から、体に染み込んできたスタイルだけに「これが自分の野球。その時になれば反射的にいく」と語る。ならば、同じようにケガに悩まされた社会人時代に本名「保幸」から「易之」に登録名を変更し、負の連鎖を止めたように、2度目の変更を決断するのは、自然な流れだった。11日の契約更改の会見で「ゼロからのスタートなので、もう1度レギュラーを取り返す。もう1度タイトルがとれるように頑張ります」と奪回を宣言。「治大」元年を復活の年にする。【久保賢吾】