失投なきルーキーだ。巨人ドラフト1位菅野智之投手(23=東海大)が3日、プロ入り2度目のブルペン入り。座った捕手相手に76球を投げ込んだ。初の本格投球は推定140キロオーバーの直球を皮切りに、カーブ、カットボール、スライダー、ワンシームを織り交ぜた。光ったのは、初球に「外の真っすぐでお願いします」と、コースを指定して投げ込んだ直球だった。

 エース内海の直後だった。原監督、杉内らが見守る中、同じ場所でブルペン入り。直球は、先輩左腕の代名詞・クロスファイアを鏡で反転させた軌道だった。

 「引っ掛け」があっても「抜け球」はない。緊張もありコースは多少、ばらついた。だが、シュート回転して真ん中に吸い込まれる「間違い」だけは犯さなかった。「とにかく低めに投げることを意識した」と、高低のコントロールはクリアした上で、抜け球が極めて少なかった。川口投手総合コーチは「完全に上から投げるタイプじゃない。メカニック的な特徴から左打者の内角、右打者の外角が、一番イメージしやすいはず」と、説明を加えた。

 投手は不調時に直球がシュート回転することが多い。菅野は逆で、好不調に関係なくカット軌道になる。そうなれば、左打者に対して内角をえぐる“クロスファイア”が可能になる。「去年は左打者に対しての外の変化球を課題にしてやってきた」と、本人も長所を理解している。だからこそ、「対」となる決め球として効果的なシンカー系の変化球、ワンシームの習得に取り組んでいる。

 途中から阿部との初バッテリーも形成。投球後には「実戦も見据えてクイックの練習もしておけよ」と、アドバイスも受けた。「阿部さんに受けてもらえた喜びを感じていたので疲れはありません」と感激した。興奮で気持ちは浮ついたとしてもボールの軌道に「間違い」はなかった。【為田聡史】