今年は信長になるー。戦力補強万全のDeNAは、中畑清監督(59)が結果がすべての“非情采配”に徹することを宣言した。昨年は豊臣秀吉流の忍耐力でチャンスを与え続けたが、今年は“勝負の鬼”に徹する。中軸には、昨年まで中日に在籍したブランコ内野手(32)とラミレス外野手(38)に加え、新加入のモーガン外野手(32)の外国人トリオを並べ、中日との開幕戦に臨む。

 DeNAは新加入のブランコと2000本安打まであと7本に迫ったラミレスが、フリー打撃で鋭い当たりを連発した。中畑監督はその打球を目で追いながら、「今年は点を取れるかな、という感覚はある。去年のような点を取れない苦しみはもういいよ」と、自信をうかがわせた。

 昨季の中日戦は7勝14敗3分けで、ナゴヤドームとなると3勝8敗1分けと分が悪かった。昨季まで4年在籍したブランコは「若干プレッシャーはあるが、試合はどこでやっても一緒」と気持ちの高ぶりを抑えるように話した。対戦する吉見の制球力についても誰よりも理解している。「低めの変化球に注意して、高めのストライクゾーンに入ってきた球を仕留めたい」と右腕攻略のイメージを口にした。

 中畑監督の言葉にも自然と力が入った。「今年は結果の出ない選手は使わない。選手も肝に銘じてほしい」と断言した。まるで織田信長を思わせる決意表明だった。「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」。多少過激ではあるが、使えない選手は容赦なく切る-。勝利にこだわる強い姿勢があった。

 昨季は阪神との開幕戦を前に、大阪城が見渡せる宿舎で「天下統一」を誓った。豊臣秀吉のように「鳴かせてみせよう」と若手にチャンスを与え続けた。その結果が5年連続の最下位。もう育てる暇はない。「ちゃんとした答えを出さなきゃいけない。緊張感が全然違う。俺だけじゃなく、チームとして勝負の年だから」と力を込めた。

 選手層が増した手応えがある。ブランコに加え、モーガンもクリーンアップで起用して得点力アップを図る。荒波、内村の俊足コンビ、開幕マスクを託す2年目高城と若手も成長。投手陣も中日から移籍したソトとソーサを迎え、戦える布陣が整った。5年連続最下位脱出&CS進出へ、尾張名古屋からいざ出陣だ。【佐竹実】