阪神OBの掛布雅之氏(58=野球評論家)が15日、大阪市内のホテルで打撃アドバイザーへの就任を要請され、受諾した。南球団社長と会談し、伸び悩みが深刻な若手育成を託された。正式な肩書きは未定だが、1年契約で、今秋と来年2月の2軍春季キャンプは臨時コーチを務める。11年ドラフト1位の伊藤隼太外野手(24)ら有望株の強化が中心。現役時代に通算349本塁打を放った「ミスタータイガース」がタテジマに帰ってくる。
待望のミスタータイガースが阪神に帰ってくる。甲子園を何度も沸かせたスラッガーが若虎強化の切り札だ。スーツを着た掛布氏は南球団社長らとテーブルを囲み、中華料理に舌鼓を打つ。今季2位に終わったチームの現状、CSの戦いぶり…。古巣再建策に熱は帯び、気づけば、2時間もたっていた。南社長は、はしを止めて言う。「伊藤隼太はドラフト1位。チームの中心としてチームリーダーにならないといけない」。掛布氏に託された最大の使命は有望株の強化だった。
掛布氏
(2軍にも)可能性がある選手はいますので1人でも1軍で活躍できるような選手が出てくればいい。若い選手がベテランを脅かすようになれば。チーム内のライバル心がチームを強くする。若い選手の頑張りがないといけない。
柔らかい表情をたたえながらも覚悟を固めた。若手の徹底強化は長年の課題だが、思うように進んでいない。11年ドラフト1位の伊藤隼は今季30試合出場で打率1割4分5厘と2年間は期待外れ。1軍で大活躍する若手は一向に現れず、ベテラン頼みの戦い方は何年も変わらない。選手層は薄く、苦境打開の「ウルトラC」として掛布氏に白羽の矢が立った。引退後は米国で臨時コーチとして指導経験こそあるが、国内で監督やコーチの経験はない。それでも現役時代に349本塁打をマークし、打撃理論に定評がある。中谷、西田、一二三、北條らホープを1軍レベルに押し上げる教育係を務める。スラッガー育成にも期待がかかる。
肩書は未定だが打撃の指導役になる。まずは今秋の安芸キャンプが初指導。11月2日に高知入りし“コーチデビュー”が濃厚だ。今秋、来春の2軍キャンプは臨時コーチを務める。若手指導が中心だが、1軍で教える機会もありそうだ。指導時はユニホームのズボンだけ着用。背番号はなく、タテジマ姿を披露する機会もなさそうだが、88年以来、25年ぶりの「阪神掛布」はファンの心をくすぐる。近年は阪神の2軍戦をテレビ解説し、鳴尾浜を訪れる機会にも恵まれた。選手から助言を求められると親身になって相談に乗った。古巣への愛情は変わらない。
掛布氏
選手に何か1つでもプラスになればという気持ちでやりたい。選手がどういう色を出すのか。その色を大切にして、もっと輝く色にしてあげられればいいと思います。
21日からの秋季練習の視察にも意欲的だ。常勝阪神をよみがえらせるために一肌脱ぐ。ミスタータイガースの熱血指導が、黄金時代への道しるべになる。
◆掛布雅之(かけふ・まさゆき)1955年(昭30)5月9日、千葉県生まれ。習志野から73年ドラフト6位で阪神入団。75年に三塁のポジションを獲得し、79年に48本で初の本塁打王。日本一の85年には40本塁打、108打点。その後は故障に苦しみ88年に33歳で引退。通算1625試合、1656安打、349本塁打、打率2割9分2厘。本塁打王3度(79、82、84年)、打点王1度(82年)、ベストナイン7度、ゴールデングラブ賞が6度。現役時代は175センチ、77キロ。右投げ左打ち。



