ソフトバンク吉村裕基外野手(29)がサード争いに緊急参戦した。宮崎・秋季キャンプ2日目のシートノックで外野からコンバートされ、松田と一緒に三塁を守った。「やれるかやれないか試されている。何とか残っていきたい」。午後からは鳥越コーチの特守を受け、息も絶え絶え、顔を真っ赤にして球に飛びついた。

 DeNAから移籍1年目は36試合出場に終わった。吉村の守った右翼と一塁は激戦区。今回、持ち前の打力を生かすための挑戦となった。もともと東福岡では3年間守り、03年に横浜でのプロデビューも三塁で、今季もオープン戦で守備についた。鳥越コーチは「スローイングがいいので試そうとなった。肩も強い。マッチ(松田)も安泰ではないし、来年争えるくらいになってほしい。打って守れれば選択肢、出場機会も増える」と狙いを説いた。

 この状況に、08年に三塁のレギュラーを獲得した松田は「お尻に火が付きました。来年試合に出られるのかな」とプライドをくすぐられた。1軍での試合出場に飢えている吉村も「最後の瞬間、守備についていたい」と強く言った。2年連続V逸で迎えた秋。ホットコーナーを巡る争いが熱を帯びてきた。【押谷謙爾】