日本ハム斎藤佑樹投手(25)が、決意の「30センチ」に確信を得た。15日、沖縄・宜野湾でのDeNAとの練習試合に先発。今季2度目の実戦、初の対外試合登板で1回無失点にまとめた。右肩関節唇損傷後、故障の要因のフォームを改良。アマ時代からプレート板の立ち位置は真ん中だったが約30センチずらし、三塁側いっぱいへ変更した。主砲ブランコのバットをへし折り二ゴロに仕留めた1球に、強い覚悟がにじむスタイル刷新の手応えがあった。
右足で土を掘り返した。斎藤が、新しい足場を固めた。全長約61センチの真っ白なプレート板。勝負をかける今季の象徴が、立つ位置にある。軸足を三塁側に置く。わずか1イニング、この日の15球。「投球が違う風に変わってきているんじゃないかな」と感じた。復活への胎動を感じる1球が、生まれた。1回2死一塁。ブランコへの2球目。糸を引くように突いた、外角低めへの直球だった。
先端で拾った大砲のバットを折った。この日は「外角の真っすぐ。(打者の)左にも右にも…」と挙げた収穫の中でも、突出した1球だった。打者の調整が遅れている時期とはいえ、斎藤には今までと違う感覚があった。「(ブランコが)もっと内角に入ってくると思ったのかもしれないですね」。わずか30センチほどの「大移動」の効果を、静かに胸に刻むことができた。
右肩関節唇損傷からのカムバックにかける今季。昨季の1年間、投球フォームを見直してきた。軸の右足に力をため、適切な重心移動。そのパワーをリリースの瞬間にはじけさせる。肩の負担も少なく、かつパフォーマンス向上が狙い。右腕からの球離れが必然と捕手に近くなった。新スタイルをさらに生かす策が、足元の変更だった。輝かしいアマ時代、プロ入り後も「真ん中だけ」だったプレートの立ち位置を変えた。
すがりたくなるような過去を振り払い、今と向き合う証しだ。「単純に考えれば、ボールが前で離れるので、打者から見て角度がついたように見える」と創意工夫で実践している。投手の投球の軸になる外角直球。仕留めたブランコで、光が見えた。キャンプイン直後の2日、初めてブルペン入り。長いトンネルを抜け「景色が変わった」と言った。マウンドからの風景、打者から見えるボールの軌道は意図的に変えていた。斎藤の「30センチ」に込めた勇気と決意が、勝負の1年の道しるべになる。【高山通史】



