<阪神1-3巨人>◇10日◇甲子園

 絶望の連敗が止まらない。虎が今季ワーストに並ぶ5連敗だ。和田豊監督(52)は2年ぶりにマット・マートン外野手(32)を1番起用、ビハインドの展開で守護神呉昇桓の投入と執念采配を見せたが実らず。首位巨人に6・5ゲーム差に離された。今日11日に敗れ、2位広島が勝つと自力2位の可能性が消滅するどころか、4位DeNAには3・5差まで迫られる。恐怖のBクラス転落危機だ。

 絶望だ。虎の意地とプライドへの期待は、またしても散った。スミ1で迎えた7回、緊張の糸が切れた。追い付かれたら、もう終わり。反撃ののろしも上げられないまま、今季ワーストタイの5連敗となった。「また失速」への危機感が空回り。指揮官の勝負手も実らず、負のスパイラルが、もう止まらない。

 和田の手(1)

 自慢の中軸を変えた。開幕から欠場した2試合以外は「5番」だったマートンを、12年7月18日巨人戦以来の1番に据えた。巨人菅野に14打数6安打だった好相性どおりに、初回いきなり中前打でチャンスメーク。鳥谷の適時二塁打で先制のホームを踏んだ。采配的中で勢いづいた…はずだった。

 和田監督

 ここ数試合、点が取れなかったから。マートンはヒットも出るし、長打もあるし、1番の経験もある。クリーンアップの前に塁に出したいという気持ちだった。

 5番には8月10日から安打のない新井を起用した。6番には5試合ぶり出場の福留。ベテラン2人の経験に託した。1回は先制し、なおも1死二塁で、ゴメスと新井が凡退。4回も2死満塁で梅野が倒れた。極め付きは1点リードで迎えた6回。先頭ゴメスが右翼線三塁打も、新井と福留が前進守備の内野ゴロ、伊藤隼は三邪飛だった。9月恒例の拙攻の連続で、直後に失点。指揮官も「新井は力が入っていた。もうひと息。ちょっと違う風が吹いたけど、もう1本」と嘆いた。

 和田の手(2)

 攻めの継投だった。同点の8回にセットアッパー福原を投入。本来のキレを欠いて痛打され、坂本に勝ち越し打を浴びた。なおも1死一、三塁。ここで亀井にワンポイントの左腕高宮、村田には安藤で食い止めた。9回は1死三塁となると、惜しげもなく呉昇桓を初めてビハインドの場面でつぎ込んだ。

 和田監督

 最少点差で何とか次の回を迎えたかった。後からいく投手が、苦しい場面での登板になった。

 守護神は代打矢野に中犠飛を許して、厳しい3点目が入ってしまった。

 巨人戦3連敗で、今季も宿敵に勝ち越せなかった。首位と6・5ゲーム差なんて、もう現実的ではない。2位広島とは3・5ゲーム差となり、今日11日にも自力2位の可能性が消える。そして、ついに4位DeNAとも3・5差。CS出場すら危ぶまれる事態になってきた。和田監督は「何かを起こす、そういう気持ちを忘れずに」と言い聞かせた。試合終了直後から雷鳴がとどろいた甲子園。お天道様も怒ってるぞ。【近間康隆】

 ▼阪神が巨人に敗れ、今季2度目の5連敗。6月18日の日本ハム戦(甲子園)から同29日中日戦(甲子園)まで1引き分けを挟んで5連敗して以来。

 ▼阪神が今日11日も巨人に負け、広島が中日に勝つと阪神の自力2位が消滅する。CSは順位上位球団の本拠地で行われるため、2位以内に入らなければ甲子園開催はなくなる。阪神△、広島○の場合、阪神が残り17試合全勝で81勝61敗2分け。広島は阪神戦5試合に全敗しても他球団との14試合に全勝すれば阪神と同じ81勝61敗2分け。2球団の勝率と勝利数が同じ場合は当該球団間の対戦勝率で順位が決まるため15勝9敗で阪神が2位。