DeNAからFA権を行使した金城龍彦外野手(38)が15日、都内で巨人との交渉に臨んだ。約1時間の話し合いを終えたベテランは「声を掛けていただき、ありがたい。方向性は決まっている。やってやろうという気持ちになっている」と繰り返し、巨人入りを即断した。勝負強い打撃を評価した球団側は、試合を決める「必殺仕事人」として大きな期待を寄せた。

 純な野球人らしく、迷いも駆け引きも何もなかった。額の汗を時折ハンカチで拭きながら、金城は決意表明した。「私の経緯として、FA宣言したということは(DeNAを)退団することを決意したということ。戦力として見ている、と言っていただいた。1年契約で勝負する」。古巣への未練はない。「万全で準備します」と貢献を誓った。

 重責を託される。原沢球団代表兼GMは「大筋合意、でいいと思います」と潔さに打たれた。「重大な局面で、試合を決める存在になってほしい。石井君が今季でユニホームを脱いで、穴があいた。かつては大道君(現ソフトバンク1軍打撃コーチ)が、重大な局面で試合を決めていた」と、得点圏での一太刀を求めた。勝負師が機能する巨人は伝統的に強い。卓越した技術を布陣に加える。

 背番号について原沢代表は「皆さんのお考えと、そうずれはないと思う」と言った。石井が今季まで背負った「33」が有力とみられる。大道は「44」だった。ぞろ目の背中は仕事人の系譜だ。【宮下敬至】