<練習試合:日本ハム6-3DeNA>◇14日◇沖縄・名護

 瞬時に軌道を修正した。DeNAのドラフト1位山崎康晃投手(22=亜大)は1回、新人らしからぬ落ち着いた判断を下した。迎えた打者は大谷。カウント1-2からの4球目、亜大時代の先輩捕手嶺井が要求した直球のサインに首を振り、ツーシームを投げた。ボールになったが、次球もツーシームを続けて空振り三振に仕留めた。

 前の打者中田には、外角速球を右翼席に運ばれた。「直球一辺倒ではダメだと、前の打者で思った。工夫です。スイングを崩せたし、いいウイニングショットでした。ナックルを投げたかったけど、本塁打された後だったから、いっぱいいっぱいでした」と振り返った。2種類あるナックルは3球投げた。2回レアードへの107キロ低速球はボールになったが、岡を124キロ高速球で空振り三振、続く3回は西川を123キロで左飛に抑えた。

 戸惑いを隠せなかったのが、ライバル球団のスコアラーだ。ヤクルト片岡スコアラーは「何を投げているのか、ツーシームなのかナックルなのか分からない。今日初めて見たので、これからです」と分析の必要性を口にした。さらに「力で押すのかと思ったら制球が良くて驚いた。使えますね」と警戒感を強めた。

 山崎康が右打者に外角速球を右翼に本塁打されたのは、人生で初めてだという。プロの厳しさを感じた一方で、3回を無四球、2回と3回は3者凡退と収穫もあった。報道陣には「緊張したけど、自分の思い描いた投球に近かった。70%ぐらい出せた」と答えた。しかし中畑監督には「30点」と自己採点を伝えていた。

 「生意気だよな」と笑い飛ばした中畑監督は、「70点以上やっていい。本番で力を出し切れるタイプの印象だ。安心してマウンドに送り出せる」と褒めた。今後は開幕ローテ入りに向けたテストが続く。「結果を出し続けてほしい」と、ドラフト1位右腕に大きな期待を寄せた。【矢後洋一】