<全日本大学野球選手権:道都大5-2国際武道大>◇12日◇1回戦◇神宮

 高校時代は無名だった右腕が、鮮烈な神宮初勝利を飾った。道都大(札幌学生野球)の佐藤峻一投手(4年=北見柏陽)が、国際武道大(千葉県大学野球)を相手に11奪三振で2失点完投。最速149キロの直球はこの日も雨の中で145キロをマークし、今秋のドラフト候補としての力量を証明した。

 無名の右腕が、ドラフト戦線に急浮上した。佐藤が11三振を奪って完投し、堂々の神宮初勝利。「内容は良くなかったけど、チームの勝利に貢献できて良かった」。昨年も2勝を挙げたが、舞台はともに東京ドーム。神宮では東洋大に0-10と大敗し、自身は3回途中でKO。苦い思い出の場所でリベンジを果たした。

 野球エリートではない右腕が、にわかに注目を集め出したのは昨年の同大会だった。チーム初のベスト8入りの原動力となり、プロのスカウトも視察に訪れるようになった。最終学年となり、さらに進化を促す出会いが待っていた。

 3月の春季キャンプで、臨時コーチとして元広島監督の達川光男氏(56)から指導を受けた。山本文博監督(56)と旧知の間柄で実現。その際に、広島前田健がマウンドに上がる前にベンチ前でクネクネと両腕を回す“マエケンダンス”を始めてから球速150キロを超えたという話を聞き、キャッチボール前には必ず取り入れるようになった。現在、直球の自己最速は149キロ。進化の速度は加速している。

 2回戦は今日13日、創価大と対戦する。「1人で投げきりたい」と連投に意欲満々のエースが、チームを2年連続8強へ導き、自身の存在をさらに知らしめる。【木下大輔】◆佐藤峻一(さとう・しゅんいち)1991年(平3)1月8日、北海道置戸町生まれ。置戸小3年から置戸ジャガーズで野球を始め、投手は小学6年から。北見柏陽では3年夏の北北海道大会8強が最高成績。道都大では1年秋からベンチ入りした。背番号は18。179センチ、71キロ。右投げ右打ち。家族は両親。