<仙台6大学野球:仙台大7-0宮城教育大>◇第1節第1日◇8月31日◇東北福祉大

 仙台大の大学日本代表右腕熊原健人(3年=柴田)が、完封勝利で開幕戦を飾った。宮城教育大を5安打に抑え、11奪三振。5四死球と制球に課題を残しながら、春季MVPの実力を見せつけた。新オーダーを組んだ打線は2本塁打などで7点を挙げ、連覇へ好発進した。

 内容は悪くても、仙台大・熊原はホームを踏ませなかった。7回1/3を3失点で敗戦投手となった昨年4月20日の東北工大戦以来の開幕投手。2度目の大役で結果を出した。「プレッシャーはなかった。以前の自分なら、開幕投手とか気にしていたと思うけど」とエースの自覚を口にした。

 この日の速球は147キロを計測し、フォークも決まって11三振を奪った。だが2四球に加えて3死球と制球に課題を残した。7点リードの9回は、2死から死球をきっかけに二、三塁に走者をためた。昨年4月28日の宮城教育大戦2回戦以来2度目の完封勝ちにも「内容はひどい。相手の打ち損ねに助けられた」と反省した。

 厳しい自己評価は成長するためだ。大学日本代表として7月のハーレム国際大会(オランダ)に出場。日本人より体格で上回る外国人大学生に甘い速球を痛打され「投手の軸は真っすぐ。それを課題にしている」と明かした。7月22日の帰国後は、最速152キロの速球にさらに磨きをかけるためウエートトレに励んでいる。慣れない海外遠征で春の78キロから73キロに落ちた体重を戻すのも目的だが「1つ上のレベルに」と、国際舞台を経験して前だけを見つめる。

 悪いなりに抑えられたのも、エースの実力。スタンドで見守った巨人榑松スカウトは「1球1球の切れと質が違う。来年が楽しみ」と評価した。森本吉謙監督(39)からは「優勝旗を返したら前回の順位は関係ない」とハッパをかけられている。「1つ1つ修正していく」と熊原。今春、67季ぶりに仙台大に優勝をもたらしたエースは、ひと回り大きくなりながら春秋連覇に挑む。【久野朗】

 ◆熊原健人(くまばら・けんと)1993年(平5)10月19日、宮城県角田市生まれ。北郷小6年で野球を始め遊撃手。柴田高から投手に。仙台大では2年春からベンチ入り。今春リーグ戦は4勝0敗、防御率1・71でベストナイン。プレーオフは2試合完投でMVP。6月の全日本大学選手権では1勝を挙げ8強に貢献。チームの寮には入らず、自宅から自転車通学。178センチ、78キロ。右投げ右打ち。

 ◆熊原のハーレム国際大会

 予選リーグ2試合に登板して計7回を3失点。初登板は7月15日の米国戦で、2番手として3回を0封。18日のオランダ戦は先発して4回3失点で敗戦投手になった。日本は決勝で米国で敗れ、準優勝。