メジャー挑戦が決定的となっていた160キロ右腕、花巻東(岩手)・大谷翔平投手(3年)が21日、岩手・花巻市の同校で会見を開き、米挑戦を正式に表明した。

 巨人桃井社長は「ウチは菅野くんなので(大谷については)どうこうではないが」と前置きしつつ「プロ野球の一員として、危機感を覚えます」と、高校生の米球界流出を問題視した。「今のままでは向こう(MLB)にかなわない。現状のルールなど、議論する機会にしないといけないのでは」と話した。

 セ・リーグの理事長を務める中日佐藤球団代表は「抜け道的になってはいけない。スポーツマンらしく対応してほしい」と求めた。メジャー行きを隠れみのに日本の希望球団入りがあっては困るという指摘。大谷側を疑っているわけではなく、あくまで可能性として触れた。なお、中日は大谷を1位指名候補としていない。

 広島松田オーナーは花巻東・大谷のメジャー挑戦に無念さをにじませた。広島市内で、「日本でやってから、アメリカに行っても遅くないというのもあるけど、本人の意思だからしょうがない。残念だ」と語った。広島は投手を1位指名する方針を固めており、亜大・東浜を最有力としながら、大谷も最後まで候補リストに残していた。

 DeNA高田GMは、あらためて大谷を強行指名しない考えを示した。これまでも、ドラフト前にメジャー挑戦を表明した場合は指名リストから外すことを明言しており、「強行(指名)はしない。本人の意思を尊重する」とした。1位候補については大谷を含め、藤浪、東浜、菅野の即戦力4投手に絞り込んできたが、「3人(藤浪、東浜、菅野)から1位(指名)を決めるということ」と、かねての方針を繰り返した。

 日本ハム山田GMは、大谷の表明を驚きなく受け止めた。大谷サイドとの面談で「スカウトからメジャー志向が極めて強い、という報告を受けていた」と淡々と話した。例年、積極的なドラフトを展開しているが、昨年は1位指名の菅野に入団拒否され、2年連続で金の卵を逃せないのが今年のチーム状況。「大谷君本人が決めたことだから、意志は固いんでしょう」と希望を尊重する姿勢を示した。

 西武鈴木球団本部長は、明確な姿勢を示すことはなかった。以前から、大谷、藤浪、東浜の3投手を「特Aランク」として、1位指名にリストアップしてきたが「まだ、何も決まっていません。これから、各スカウトと協議して決めます」と話すにとどめた。

 1位候補に挙げ、球団として面談も済ませていたソフトバンク石渡編成・育成部長は「残念です。ダルビッシュと並び称される選手で、投手、野手としても何年かに1度の選手。日本のプロ野球を経験してから(米国へ)行ってほしかった」と無念そうに語った。

 楽天は大谷の意思を尊重し、指名候補から外した。地元東北の逸材で1位の大本命だったが、星野監督が「リストから外さないかん」と明言した。加藤統括本部長も「タフなチャレンジを応援し続けたい」。一方、同監督は問題提起もした。大谷は日本に戻っても3年間、ドラフト指名を受けられないが「若いんだから、行きたいなら行けばいい。ただ(帰国後)5年はプレーできないようにした方がいい。覚悟が必要になるし、その方が成功する。このままでは良い選手が、みんなメジャーに取られる」と話した。