阪神ドラフト1位指名の大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)、2位指名の光星学院・北條史也内野手(18)の“師範”がやってくる-。阪神が若手育成のため、合気道の達人を招聘(しょうへい)することが26日、分かった。「心身統一合氣道会」から派遣してもらう形で、現在、行われている秋季練習から参加。秋季キャンプ、来春キャンプのみならず、選手寮「虎風荘」に住み込んでもらう計画も持っている。

 「心身統一合氣道」とは、74年に創始された武道で「氣の原理(心が体を動かす)」を基本理念に、人間の能力を最大限に発揮することを教える。昨年オフ、同会の藤平会長が、プロ野球OB広岡達朗氏とともに特別講演に訪れた。その際、臍下(せいか)丹田(おへその下)に力を集中する、全身の力を抜くなど、精神面のみならず、技術的にも具体的な指導を行った。

 「ドラフトの前から決めていたことだけど、藤浪、北條が入ってくるからちょうどいい。精神的なことはもちろん、技術的なことにも手助けになるから」

 球団幹部は合気道が若手育成にもたらす効果を強調した。くしくも、25日のドラフト会議で藤浪、北條という甲子園を沸かせた投打のヒーローの獲得に成功したばかり。「金の卵」を一流に成長させていくことがこれからの課題となるが、未成年の心身を磨いていくために、野球以外の分野からも教育する方針だ。

 派遣されるのは藤平会長の門下生となる見込みで、近日中に秋季練習に参加する予定。「究極の武道」とも言われる合気道の力を注入し、若虎を一流へと育て上げる。