新十両は、ハリウッドスターになっていたかもしれない。28日に春場所(2月8日初日、大阪・ボディーメーカーコロシアム)の番付編成会議が行われ、3人の新十両昇進が決まった。都内の宮城野部屋で会見した石浦(25)は、1度は相撲人生をあきらめ、オーストラリア・アデレードへ語学留学した異色の経歴の持ち主。留学期間中には、ハリウッド映画の出演依頼を受けていたという。

 父外喜義さんが監督を務める鳥取城北高を経て、日大に進学。エリート街道を歩んだが、3年次に腸を悪くして体重が10キロ以上落ちた。卒業後の12年5月に語学留学を決意してオーストラリアに渡るも、インターネット中継で同期が活躍する姿を目にして1カ月で翻意し、わずか4カ月で帰国した。

 ちょうどそのころ出演依頼を受けたのが、日本でも人気で屈強な体と鋭い爪を持つ「ウルヴァリン」が主人公のハリウッド映画だ。現地の相撲関係者の紹介で「日本人役のエキストラですよ。でも、せりふもあった」(石浦)。当時は体重70キロ台。撮影時期と帰国が重なり辞退したが、そこは初土俵から2年で関取になった。「1人の時間が増え、自分と向き合えた。あれがなければ、プロには入っていない」と断言するが、タイミングが違えば、今ごろスクリーンを沸かせていたかもしれない。

 石浦は「相撲が好きだし、俺には相撲しかない」と一念発起し、目標の横綱へ1歩前進した。もし私だったら、悩んでいたであろう。横綱とハリウッドスター。両方なれるなら、どちらを選びますか?

 【桑原亮】