元幕内三杉磯の峰崎親方が、11日に70歳の誕生日を迎えた。今場所限りで、日本相撲協会を退職する。中学在学中だった14歳の時、1971年春場所で初土俵を踏んだ。30歳で現役を引退し、1988年から2021年まで峰崎部屋の師匠を務め、幕内荒鷲らを育てた。65歳になる2021年5月を控えた同年4月に峰崎部屋を閉鎖。その後は参与として協会に残った。
半世紀以上に及んだ在職中の思い出について聞くと「もちろん、師匠としての仕事もいろいろあった。けどね、今となっては神社だよ。神社が心配で…」と話した。
神社とは、相撲の神様を祭った「野見宿禰神社(東京都墨田区)」のこと。当時理事だった芝田山親方(元横綱大乃国)から打診を受け、2022年5月から野見宿禰神社の管理を続けてきた。神事を尊び、凝り性でもある峰崎親方は適任だった。
日本相撲協会が管理する神社だが、新型コロナウイルスが流行した時期は、手つかずで本殿の扉は閉じたままだった。峰崎親方は、当時のことを忘れない。「(本殿は)物置小屋になっていて、もうあぜんとしました」。三重県伊勢市から神具を運んで入れ替えた。今では、4、5日に1回は神社を訪れる。
午前4時に起床し、東京都練馬区の自宅を車で出発。午前5時半ごろから本殿を開け、お供え物を取り換え、庭を掃除する。3、4時間はかかり、落ち葉などを集めたゴミ袋は3袋に及ぶ。「最初は荒れ放題で、めちゃめちゃ怖かった」。手入れが納得できるようになったのは、始めてから1年くらいたってからだという。
早朝に家を出るのは交通渋滞を避けたいことも理由だが「やっぱり朝、夜明けと同時にお参りしたい。ここに鎮座して、協会をみんなを守ってくれているからね。こういうのが好きなんだろうな、集中できる」。
両国国技館から徒歩5分の小さな神社だが、峰崎親方が管理するようになってから、見違えるように整備された。今や観光客も訪れ、大みそかには行列ができる。歌手のさだまさしは、野見宿禰神社を参拝してから、大みそかのカウントダウンイベントを行う国技館に向かう。峰崎親方を尊敬する高安は、よくお参りに来ているという。
来月から、野見宿禰神社の管理は、新担当の芝田山親方に引き継がれる。後を託した峰崎親方は今後も、お参りだけは続けていく考えだ。【佐々木一郎】


