WBC世界バンタム級王者山中慎介(32=帝拳)が、苦しみながら9度目の防衛に成功した。前WBA同級スーパー王者の挑戦者アンセルモ・モレノ(30=パナマ)の防御を打ち崩すことはできなかったが、後半王者の意地を見せ反撃し判定2-1(113-115、115-113、115-113)で勝利した。

 試合後、山中は「最後までパンチが当たらない苦しい戦いだった。内容は満足いかないが、勝ったので次がある」と息子を胸に抱き安堵(あんど)の表情で振り返った。

 防衛回数を国内歴代4位に伸ばした。戦績は26戦24勝(17KO)2分けとなった。モレノは40戦35勝(12KO)4敗1分け。

 1R 両者右ジャブの差し合い、山中が右アッパー、ボディーへのストレートなど放つが、両者様子見の展開。

 2R 序盤、山中の左がモレノをとらえる。モレノは動いて決定打をもらわない。

 3R 山中の右ボディーがヒットするも、モレノの動きは止まらない。

 4R 山中の左がモレノの頭をかすめる。モレノは右ジャブで応戦。

 公開採点 ジャッジ38-38、39-37、39-37で山中が有利

 5R 終了前にモレノが攻める。

 6R 山中が足を使ってモレノをいなすが、モレノの右ストレートが山中をとらえる。

 7R 山中がワンツーでペースをつかんだように見えたが、モレノも粘りを見せ反撃

 8R 山中に焦りはない。右ジャブから流れをつくる。モレノの右目が腫れてきた。

 公開採点 ジャッジ76-76、76-76、75-77でモレノが逆転

 9R モレノの右フックが山中のアゴをとらえる。ふらつく山中、なんとかしのぐ

 10R 打ち合う山中とモレノ、山中の左がモレノをとらえた。ふらつくモレノ。山中が猛攻、倒しにいくが1度もKO負けがないモレノはクリンチでしのぐ

 11R 攻める山中、モレノも打ち返す。会場のボルテージは最高潮

 12R 両者にクリーンヒットはない。勝負の行方は判定に。

 判定 ジャッジ113-115、115-113、115-113で山中の勝利。

 ◆山中慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日、滋賀・湖南市生まれ。南京都高1年でボクシングを始め、3年時の国体で優勝。専大ボクシング部で主将。06年1月プロデビュー。10年6月に日本バンタム級王座、11年11月にWBC世界バンタム級王座獲得。身長171センチの左ボクサーファイター。