パチパチパンチの嵐や~ WBA世界フライ級王者の井岡一翔(27=井岡)が、お笑い界の名優に白星をささげる。同級暫定王者スタンプ・キャットニワット(18)との王座統一戦へ向け、24日は大阪市内のジムで練習を公開。同じ大阪・興国高出身で16日に死去した吉本新喜劇の島木譲二さん(享年72)へささげるKO勝利を誓った。

 動きは軽快で、パンチは力強かった。6ラウンドのスパーリング最終回。井岡は、日本スーパーフライ級前王者石田匠の腹と顔へ、嵐の連打を浴びせた。6年連続の大みそか決戦へ、仕上がりは万全。「好調に来てます」と胸を張った。

 天国へと旅立った母校の大先輩へ、白星を届けたい。同じ大阪・興国高出身で、吉本新喜劇の島木譲二さんが16日に死去。「びっくりしました。病気というのも知らなかったんで」。元プロボクサーで西日本新人王にも輝いた島木さんは、井岡の試合にも足を運んでいた。井岡も島木さんのギャグを見て育った。「子供のころは学校から帰ってきたら、テレビで新喜劇をやってたんで。高校の校外学習で、貸し切りで新喜劇を見に行ったこともあった」と振り返る。

 体を張った数々の芸の中でも、脳裏に焼きついているのはパチパチパンチだ。「鉄板(のギャグ)ですよね。パチパチパンチの人って呼んでました」。いつも笑いを届けてくれた島木さんのためにも、井岡は鍛え上げたパンチの連打でベルトを守る。「KOで勝ちます」と、世界戦3戦連続KOを堂々と宣言した。

 燃える心を表すように、トランクス、シューズの色は5年ぶりに赤に決めた。「(ボクシングで)赤はチャンピオンの象徴」と井岡。今年は「神ってる」が流行語大賞に選ばれたプロ野球広島や、NHK大河ドラマ「真田丸」の真田一族のカラーも赤だった。「負ける要素はまったくない」。王座統一へ、自信は揺るがない。【木村有三】

 ◆大阪名物パチパチパンチ 上半身裸になって、両手を前に突き出した後、右手で左胸を左手で右胸をたたき続ける。たたく前には「大阪名物パチパチパンチや」と叫ぶ。他には両手に持った灰皿で自らの頭をたたく「ポコポコヘッド」も島木さんのギャグとして愛された。