WBO世界バンタム級5位亀田和毅(22=亀田)が8月1日、フィリピン・セブ市で同級王者パウルス・アンブンダ(32=ナミビア)に挑戦する。

 メキシコを主戦場にしてきた和毅は、語学力という兄2人にはない強みがある。現地在住の日本人に基礎的なスペイン語を教わったが、語学スクールには通っていない。毎日、ジムで聞いた言葉を書き留め、自宅に戻って辞書で調べて単語を覚えた。「言い回しが頭に入る」と現地のテレビドラマを見てフレーズを吸収。現在は流ちょうに話し、読み書きもできる。

 「語学の能力を何かに生かしたい」と、和毅は世界のボクシング関係者との交流も積極的に続けてきた。WBCスレイマン会長とはメキシコ修行中から関係が深く、同会長から「私の孫」と愛される。WBAメンドーサ、WBOバルカルセル、IBFピープルズ各会長とも直接話せる間柄。和毅は「通訳を入れるのと2人で話すのは気持ちの伝わり方が違う。4団体の会長と仲が良いよ」と、存在感を示してきた自負もある。

 「3兄弟世界王者は家族の夢。達成したら次は自分の夢を実現する。ビッグマッチがしたい」と、メキシコや米国での防衛戦を熱望する。世界初挑戦がフィリピンになったのも、何かの運命。「ここで勝てば成長する。オレはラスベガスでもっと大きい試合をするんやから」。海外志向の強い和毅はWBO王座奪取で、世界進出へのスタートラインに立つ。【藤中栄二】(おわり)