大相撲のベテラン旭天鵬(40=友綱)が、相撲を長く取るために“背水の陣”を貫く。8日、名古屋市緑区の宮城野部屋へ出稽古。「さすがに横綱とやる勇気はないよ」と、横綱白鵬(30)と稽古することはなかったが、いつも通りに四股でたっぷりと汗をかいた。

 名古屋場所(12日初日、愛知県体育館)は、幕尻から4枚半の西前頭11枚目。以前から「十両に落ちたら引退」と公言する。「(気持ちは)変わらない。後がないなと思ってやっている方が、オレは楽。落ちてもやると思っていたら、すごい楽になっちゃう」と自分を追い込むための“まじない”だと明かした。もっとも「落ちてもやるとは、今になって言えないしね」。

 ただ、目前には数々の記録が待ち構えている。今場所で勝ち越せば、幕内勝利で貴乃花の701勝を超える。秋に幕内在位100場所を迎え、九州では幕内最高齢と、通算出場1位にも手が届く。「今年は九州まで超えたい目標がある」。

 夏場所前に診断された尿路結石は「全然痛みがない。違和感なくて、本当にあるのかと疑っちゃう」とおとなしい。まだまだ相撲を取れ、ということ。名古屋で7年ぶりの勝ち越しへ、準備は万全。【今村健人】

<旭天鵬が今後狙う記録>

 (1)幕内勝利 現在694勝で史上8位。7位の貴乃花の701勝まであと7勝、6位の武蔵丸の706勝まであと12勝。

 (2)幕内在位 名古屋場所で史上2位の99場所。1位は魁皇の107場所。

 (3)高齢幕内 名古屋場所初日で40歳9カ月29日となり、大潮の40歳9カ月13日を抜いて昭和以降史上3位。九州場所初日で41歳1カ月26日で、能代潟の41歳1カ月19日を抜いて史上最高齢。

 (4)通算出場 現在1856回で史上2位。1位の大潮の1891回まであと35回。九州場所5日目で到達。

 (5)通算勝利 現在924勝で5位。4位の北の湖の951勝まであと27勝。