かど番の大関豪栄道(29=境川)が、関脇豊ノ島(32)を押し出しで下した。大関昇進後では昨年春以来2度目の初日から4連勝。4勝11敗と屈辱を味わった初場所後は、母校埼玉栄高時代に取り組んだタイヤ押しトレーニングを再開した。原点回帰で下半身を鍛え直し、相撲内容も良化。連日大声援を浴びる地元大阪で、復調ムードが漂ってきた。
うまさと、力強さが戻ってきた。相撲巧者の豊ノ島を、豪栄道が攻め続けて揺さぶった。相手得意の左四つになっても、すかさず出し投げで崩して、押し出した。「どんどん攻められたのが良かった」。かど番だけに、昨年春以来の初日から4連勝にも笑みはない。「まだまだ長いので。気を抜かずに集中したい」。無表情で振り返った。
大関昇進後ワーストの11敗を喫した初場所後の2月、母校埼玉栄高を訪ねた。現役部員らと3時間近く汗を流す中で、土の上に置いた大型タイヤを腰をかがめて押し続けた。高校時代にやっていた懐かしいトレーニング。約20キロのタイヤは土の抵抗で重さを増し、自然と下半身に力が入った。「次の日、足の張り方が違った。足で押す意識ができた」。相撲の基本「押し」への原点回帰。春場所宿舎にもタイヤを持ち込み地道に鍛え、足腰が安定した。
心も入れ替えていた。2月半ば、大阪在住の母真弓さん(60)の還暦祝いを都内で開催した。姉優雅さん(35)の家族も誘い、六本木で高級ステーキを振る舞った。優雅さんは6月に第2子を出産予定で、幸せムードが充満。家族の力も借りて、初場所のモヤモヤ気分を吹き飛ばしていた。
大関の地位も、10場所目。14年秋の昇進時に痛めた左膝に加え、昨年は右肩を痛め、右手首も骨折と故障に悩まされた。だが、ようやく完調に近い形で土俵に立てている。「場所前に稽古できたのがデカい」。かど番脱出、さらにうっぷんを晴らす優勝争いへ。地元の大声援を背に、連勝街道を突き進む。【木村有三】

